1997 Fiscal Year Annual Research Report
頭部外傷後の二次的障害におけるフリーラジカルの関与とプロポフォールの保護効果
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09771161
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
河田 竜一 山口大学, 医学部, 助手 (20263783)
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Keywords | 頭部外傷モデル / プロポフォール / 神経学的予後 / 脳浮腫 |
Research Abstract |
【研究の背景と目的】これまでの研究結果で通常のイソフルラン麻酔と比べ、イソフルランおよび静脈麻酔薬プロポフォール(Prop)で脳波上burst-suppressionを維持すると、頭部外傷後12時間目の神経学的所見が良好で、脳保護効果が示唆された。今回は循環系への影響を考慮し、さらにPropの低用量での効果と、その保護機序の一端としての脳浮腫を軽減する効果について検討した。【方法】Wistar系雄性ラットを用い、亜酸化窒素・イソフルラン(Iso)麻酔下に挿管・人工呼吸を行い、動静脈にカニュレーションした。脳定位装置に固定、左半球側に開窓した。ラットを無作為にsham群、Iso群(通常麻酔深度)、Prop群の3群に分類した。Iso群、Prop群では硬膜上に置いたアルミ片に高さ10cmから6gの重りを落下した。sham群、Iso群は亜酸化窒素66%・Iso1.2%で、Prop群はIsoを中止しPropを0.35-0.8mg/kg/minで静注した。sham群、Iso群ではイントラリッピドを0.35-0.8mg/kg/minで静注し,Prop群では血糖維持のためグルコースを投与した。各々2時間麻酔を維持後、覚醒・抜管した。血圧、脳温、脳波は連続モニタし、血液ガス、血糖測定は外傷直前と外傷後は30分毎に2時間測定した。抜管後2、12時間目の神経所見をスコア化(0-20点、0:正常、20:死亡)した。外傷12時間後の神経所見を評価後、脳組織を摘出し傷害半球の水分含量を測定した。【結果】3群間で生理学的諸量に差はなかった。外傷後2、12時間後の神経学的所見はsham群(平均2、0.5点)に比して、Iso群(5.5、9点)、Prop群(6.5、10.5点)では不良であった。Iso群、Prop群の間には明らかな差はみられなかった。外傷後12時間目に評価した水分含量は3群間で明かな差は見られなかった(sham:73.49%、Iso:71.73%、Prop:71.44%(平均値))。【考察】Prop深麻酔でみられた脳保護効果が、低用量ではみられなかった。前回の研究結果を踏まえて12時間後の脳浮腫の評価を行ったが、さらに経時的な変化の検討も必要と考えられた。【結論】Prop深麻酔でみられた脳保護効果は、低用量では明確に出来なかったが、数を増やし、用量依存性効果の検討と、Prop深麻酔の抗脳浮腫効果を含め、保護機序の検討を進める予定である。
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