1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09771177
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
古谷 良輔 横浜市立大学, 医学部, 助手 (30275036)
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Keywords | 神経型ニコチン受容体 / AMPA受容体 / バルビツレート |
Research Abstract |
中枢神経系のニコチン受容体に対する麻酔薬の作用を明らかにするため、今年度は麻酔薬としてバルビツレートを用い、以下2つのテーマの研究を行った。 (1)2種類の抑制性バルビツレート(R(-)MPPB,Thiopental)、及び2種類の興奮性バルビツレート(S(+)MPPB,CHCB)(但しR(-)MPPB,S(+)MPPBは光学異性体)、計4種類のバルビツレートを用い、ラット褐色細胞腫由来のPC12細胞に発現している神経系ニコチン受容体を介する応答電流に対する各々のバルビツレートの作用をホールセル・パッチクランプ法を用いて比較した。 (結果)4種類のバルビツレートはいずれもニコチン応答電流を可逆的に、濃度依存性に抑制、ニコチン電流の減衰を加速させた。4種類共、抑制はピーク電流よりも脱感作後の電流により強く現れ、R(-)MPPB,S(+)MPPBの光学異体間では抑制の強さに有意差は認められなかった。 (結論)抑制性バルビツレート、興奮性バルビツレートは共にPC12細胞においてニコチン応答電流を抑制した。また光学異性体であるR(-)MPPB,S(+)MPPBは生体では正反対の作用を示すが、神経型ニコチン受容体に対する作用に差は認めなかった。従って、中枢神経系のニコチン受容体でさらに検討の余地は残されているが、神経型ニコチン受容体に対する抑制作用はバルビツレートの麻酔作用と関連が低い。 (2)AMPA型グルタミン酸受容体(AMPA受容体)は、中枢神経系における早い興奮性シナプス伝達の大部分を担うと考えられ、その応答電流が臨床使用濃度のベートバルビタールによって抑制されることは既に報告されているが、この作用がバルビツレートの麻酔作用に貢献しているかどうかは明らかでない。そこで、ホールセル・バッチクランプ法により、分離ラット胎児大脳皮質ニューロンに対しカイニン酸を用いてAMPA応答電流を測定し、臨床使用濃度のThiopental、及び各種濃度のR(-)MPPB,S(+)MPPBを同時投与したときのAMPA応答電流の変化を測定比較した。 (結果及び結論)1.Thiopentalは臨床使用濃度(20〜50μM)でAMPA受容体応答電流を抑制した。2.抑制性バルビツレート、興奮性バルビツレートは共にAMPA受容体応答電流を抑制したが、両者間で抑制の強さに有意差は認められなかった。3.以上から大脳皮質ニューロンにおいて、AMPA受容体はバルビツレートの麻酔作用に部分的に関係している可能性はあるものの、主たる作用部位ではないと思われる。
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Research Products
(1 results)