1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09771192
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
小高 桂子 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (30203532)
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Keywords | 人工赤血球 / 体外循環 / 心筋保護液 / 心筋代謝 |
Research Abstract |
本年度は、犬を用いての人工心肺モデルを作製し、(人工赤血球を比較する意味で、)従来の心筋保護液(GIKなど)での心筋保護効果をみることにあった。仮説としては、晶質液中心では心筋冷却が保護効果の大部分を占めるため、時間の経過とともに細胞浮腫が進行し、心筋保護効果が減弱し、人工心肺後の心筋組織血流量が減少し、ATPも減少し、心筋傷害が起こっていることが予想された。 これまで6頭の雑種成犬を使用し研究を行ったが、開胸操作、ヘパリンを使用しての体外循環に伴う出血、術操作などの侵襲が予想以上に大きい影響か、大動脈遮断時間が長い影響か、特に初期において、心停止後の人工心肺離脱が困難な症例が多く存在した。人工心肺離脱可能であったものは2頭であり、人工心肺前後の心筋組織血流量は、人工心肺後に減少している傾向が確認された。ATP測定においては、測定値のばらつきが大きく、現在のところ傾向を確認するには至らなかった。しかし、今までの研究で得られた知見としては、人工心肺離脱にあたり、一時的ページングや、大量のカテコールアミンを必要としたことから、現方法では、心筋傷害は重度であると考えられるということであり、優れた酸素運搬体である人工赤血球混和の心筋保護液での心筋保護効果が十分期待できることが予想される。今後は、大動脈遮断時間を当初の計画より短縮してコントロール実験を終了させ、その後、人工赤血球による心筋保護を試みる。さらに、以前の心筋傷害のパラメーターに加え、冠静脈洞からCK-MBの測定も行い、より多角的方面より、解析を行う。
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