1997 Fiscal Year Annual Research Report
CDK inhibitorがもたらすカードピークとapoptosisの解明
Project/Area Number |
09771202
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 誠 東京大学, 医学部・附属病院分院, 助手 (00179251)
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Keywords | 細胞周期 / サイクリン / フローサイトメトリー / 前立腺腫瘍 / CDK |
Research Abstract |
3種類の非同期化ヒト前立腺癌培養細胞株にBityrolactone I(以下BL)を作用させ、DNAブロイディ分析による細胞周期解析および二重蛍光測定による細胞周期特異的な各種cyclinの発現レベルの解析を行った。 実験結果:(1)細胞周期をシンクロナイズしない通常の培養条件下でBLの効果発現至適濃度はMTT法にて70μM〜100μMであり、FCMにて細胞増殖活性の抑制、G2/M期の増加、第三ピークの出現、G2/M期に特異的なcyclin B1の増加が全て明瞭に認められた。(2)ヒト前立腺癌培養細胞株の検討で、BLの作用により著明なG2/M期の上昇、及び第三ピークの出現が見られた。(3)BLの添加によりG2/M期にcyclinB1の発現を認めた。BLによりCdc2キナーゼ活性が阻害されるため、cyclin Bが分解されずに蓄積するものと考えられた。 (3)BLは選択的CDK阻害物質であるので、本研究により第三ピークの誘導は、protein kinaseの中でCDKの阻害によるが初めて明らかにされた。BLにより、多核細胞が誘導されたという報告はない。これまでにprotein kinase inhibitorであるK-252aにより、4C以上の核が誘導されたUsuiらの報告がある。K-252aはprotein kinaseの中でPKC・A kinase・MAP kinase・Cdc2 kinaseを同程度阻害するため4C以上のDNAの誘発がどのprotein kinaseの阻害に起因するか不明であった。本研究により4C以上のDNAの誘導はprotein kinaseの中でCDKを阻害したためであるということが強く示唆された。通常の細胞周期ではDNA再複製ブロックを有していると考えられるので、BLによってこの機構が解除されたことになる。
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