1997 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト精子の形態上の特徴とその生物学的・医学的意義に関する研究
Project/Area Number |
09771226
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
山崎 尚 和歌山県立医科大学, 教養部, 助教授 (20212285)
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Keywords | ヒト / 精子 / 形態異常 / 超微細構造 |
Research Abstract |
走査電子顕微鏡(SEM)による観察で精子頭部に極めて特徴的な形態異常の存在することが明らかとなった為、この構造の内部超微細構造を調べることを目的として、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察した。当初は走査電子顕微鏡と同じ観察面をTEMで観察できるように試料を作製することを目的としていたが、技術的な困難さのため、本年度中には達成できず、SEMとの同一試料を一般的な方法でTEM用標本として、観察を行った。これまでSEMで観察した14例の試料のうち、2例をTEMにより観察したが、そのうち、一例でSEMで見出した形態異常に相当すると思われる形態を標本中に見出し、その内部構造を観察することができた。内部には大小の小胞構造が多数存在いた。これら小胞は膜様構造に包まれていた。また、一定の電子密度をもつ細胞質と思われる像も観察できた。しかし、ミトコンドリアやリボソーム、分泌顆粒の様な比較的高い電子密度を持った構造は見いだせていない。今後の課題としては、現在の方法では標本中の精子濃度が低いため、1枚の切片から観察できる精子の数は少ないため、より多くの標本を観察すること、当初計画したSEM観察面との同一面をTEMで観察することも引き続き試みる必要がある。 上記形態的観察と並行して精子表面に存在する細胞マーカーを見つけることを目的とした生化学的研究では、入手できる試料に限りのあるヒトではなく、一般的な実験動物を用いて行った。今回用いたのはイモリ、アフリカツメガエル、マウス、ハムスターであるが、これらの精子抽出液に全てに特異的なペプチダーゼ活性が存在しており、基質特異性にも一定の共通性があることが明らかとなった。この活性と精子の受精能や運動能との関係、あるいは分子としての局在部位などを更に調べる必要がある。また、同様の活性のヒト精子での有無などについても今後検討してゆきたい。
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Research Products
(1 results)