1997 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺特異膜抗原(PSMA)に対する定量的測定系の開発と前立腺臨床への応用
Project/Area Number |
09771229
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
寿美 周平 獨協医科大学, 医学部, 助手 (20275746)
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Keywords | PSMA / 前立腺癌 / 腫瘍マーカー / 糖蛋白 |
Research Abstract |
前立腺癌のマーカーとしてはPSAの有用性が確立されているが、最近はその限界が明らかになりつつあり弱点を補う新たなマーカーが求められている。PSMAは前立腺上皮細胞の他、血清および清漿中にも存在が確認され、その血中および組織中レベルが内分泌療法抵抗性の前立腺癌において上昇する事が示され注目を集めている。すなわちPSMAが予後因子としてPSAを凌ぐ可能性およびPSMAを指標あるいはターゲットとした新たな治療法の可能性が示唆されているが、その測定法はいまだ半定量的なものに留まっており現状では基礎的にも臨床的にも研究の進行が困難な状況である。そこで今回、PSMAに対する定量的な測定系を開発し、前立腺癌におけるPSMAの意義および治療への応用の可能性につき検討することを計画した。しかしながら、本研究の開始後、当教室におけるPCR法を用いた血中PSMAの検討よりPSMAの前立腺癌予後因子としての可能性に否定的な結果が得られたこと、および複数の特許申請がなされたために新たな測定系としての研究が極めて困難な状況が生じたことから、計画の一部を変更した。すなわち従来よりPSMAと同じ膜成分であり、当教室の研究において前立腺癌と前率千肥大症において相違が認められた膜結合型糖蛋白の癌特異的マーカーとして有用性の確立およびその応用を目的として研究を行った。まず前立腺組織(癌および肥大症)と精漿を超遠心分画法により分離した後、分子量と等電点による2次元マッピングを行った。展開された2次元泳動像のうちから、コンピューターを用いた画像解析処理により、癌組織に特異的に認められるスポットを切り出し、抽出、精製を行った。これらを免疫源として特異抗原を作成し、現在免疫学的手法にて定量的に測定しうる系を作成中である。
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