1998 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣表層上皮細胞の増殖特性と腫瘍化機序の細胞生物学的解析
Project/Area Number |
09771258
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木戸 道子 東京大学, 医学部・附属病院分院, 助手 (20291312)
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Keywords | 卵巣腫瘍 / 卵巣表層上皮細胞 / 細胞増殖 / 癌遺伝子 / トランスフォーム能 |
Research Abstract |
卵巣腫瘍とくに卵巣癌は年々増加しているが、症状に乏しく、早期発見が難しいため、予後は不良であることが多い。表層上皮性腫瘍が全体の3分の2を占め、悪性では8割を越える。その発生母地は卵巣表層上皮であるとされているが、適切な研究方法がなかったためその性質は長い間不明であった。筆者はすでにC3H/He系マウスより卵巣表層上皮細胞を分離培養し、SV40largeT抗原DNAを導入することによって細胞株T-Ag-MOSEを得ている。またp53ノックアウトマウスの卵巣より卵巣表層上皮細胞を分離培養し細胞株p53-def-MOSEを樹立した。これらの細胞株は厚生省JCRB細胞バンクに現在登録申請中である。 T-Ag-MOSEはヌードマウスに腫瘍を形成し、その病理学的解析を行ったところ、悪性腫瘍で一部にosteoidや異型血管をみとめた。これにより卵巣表層上皮細胞が中胚葉性組織への多分化能を有していることが証明された。 また、卵巣表層上皮細胞の増殖機構を解析するために細胞内シグナル伝達経路についても実験を行った。 主要なシグナル伝達関連分子であるMAP kinaseがEGFなどの細胞外からの増殖刺激により活性化するかどうかをゲル内リン酸化法により調べたところEGFおよびhydrocortisoneにより活性化がみとめられた。 この結果をもとにこれからさらに卵巣表層上皮細胞の細胞内シグナル伝達経路の分析を行う予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Michiko Kido,Masabumi Shiguya,: "Isolation and characterization of mouse ovarian surface epithelial cell line" Pathology,Research and Practice. 194. 725-730 (1998)