1997 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠糖尿病の母体ならびに胎児環境におけるNO産生系の異常についての検討
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09771281
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
福井 理仁 徳島大学, 医学部, 助手 (00263822)
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Keywords | 生体内一酸化窒素 / 妊娠糖尿病 / ヒトキマ-ゼ / エンドセリン |
Research Abstract |
生体内一酸化窒素(nitric oxide:NO)およびヒトキマ-ゼの胎児胎盤系における発現の程度を検討するために,平成平成8年度は以下の検体採取を行った. 合併症を認めない正常妊婦と,妊娠中の糖負荷試験(全妊婦に行っている)で異状を認めた妊婦に対し,患者にインフォームドコンセントを行って書類による同意を得た後に,まず経膣分娩時に臍帯静脈血,絨毛膜ならびに脱落膜を採取し各々マイナス-70℃で凍結保存した(症例数:正常妊娠10例.異常妊娠3例).また帝王切開症例に関しては臍帯静脈血,絨毛膜,脱落膜ならびに子宮筋の一部(子宮切開層における5mm大の子宮筋)を採取し同様に保存した(症例数:正常妊娠5例.異常妊娠5例).さらに帝王切開症例に関してはヒトキマ-ゼの発現検討のために,各検体を採取後生理食塩水にて洗浄した後にカルノア液(エタノール60%,クロロホルム30%,酢酸10%)にて固定(4℃)し3μm厚の標本を2枚ずつ作成した.このけ検体に関しては以下の方法で免疫染色を施した.1)キシロール(10分×3回),エタノール(10分×2回に順次浸漬した.次に100,90,80,70,50エタノールの順に各5分間ずつ漬ける.これらを0.01Mリン酸buffer(PBS食塩水)で3回洗浄.2)ブロッキング用ウマ血清で室温で20分間作用させた後に0.27μg/mlの抗マストセルキマ-ゼ抗体(Chemicon社)を滴下し,各抗体を4℃で一晩作用させる.3)2次抗体としてビオチン化マウスlgG抗体を60分間作用させ,アビジン・ビオジン化アルカリフォスファターゼとVector Red(Vector社)で染色,光学顕微鏡下に観察した. その結果各検体においてヒトキマ-ゼの発現を認めた(これは現在まで報告を見ないものである).今後は各検体におけるNO合成酵素のRNA発現ならびにヒトキマ-ゼの発現の症例間検討を行う予定である.
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