1997 Fiscal Year Annual Research Report
婦人科癌における糖転移酵素に関する解析とその癌の質的診断への応用
Project/Area Number |
09771301
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
吉岐 潤子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20255516)
|
Keywords | ガラクトース転移酵素 / TLC免疫染色法 / ELISA法 / 子宮体癌 / 1型糖鎖 / 2型糖鎖 |
Research Abstract |
β1-3、β1-4ガラクトース転移酵素(GT)はそれぞれ1型基幹糖鎖および2型基幹糖鎖を合成する糖転移酵素である。癌細胞膜に発現される糖鎖は転移などの細胞特性に関与することが明らかになっており、一般に1型糖鎖を発現する癌は2型糖鎖を発現する癌に比べ予後が良好であることが知られている。従って、これらの糖鎖の発現を規定する糖転移酵素の測定系の開発やその発現に関する解析は、婦人科癌における細胞の特性の解明やその質的診断のために必須となってきた。今回は、婦人科癌由来培養細胞ならびに子宮体癌組織のβ1-3、β1-4GT活性とmRNAならびにGTタンパクの発現との関連について解析し、子宮頚癌や卵巣癌と比較検討した。方法:1)1型糖鎖あるいは2型糖鎖と特異的に反応するモノクローナル抗体を用いて、各種婦人科悪性腫瘍由来培養細胞株ならびに子宮体癌、頚癌、卵巣癌組織におけるβ1-3、β1-4GT活性をTLC免疫染色やELISA法にて測定した。2)β1-4GTのmRNAおよびタンパク発現をNothern blot、Western blotで解析した。成績:1)1型糖鎖を優位に発現する体癌由来株ならびに体癌組織におけるβ1-3GT活性は2型糖鎖を優位に発現する頚癌や卵巣癌に比べ、高値を示した。一方、β1-4GT活性は体癌に比べ頚癌や卵巣癌で亢進しており、GT活性と糖鎖の発現に関連が認められた。2)β1-4GT活性が低下した株では、β1-4GTのmRNAおよびタンパクの発現は著明に低下していた。結論:婦人科癌では、GTが糖鎖発現を規定する因子であることを我々が独自に確立した測定系を用いて明らかにした。以上の成績をもとに、今後GTの測定が婦人科癌の質的診断に応用し得るかを検討するため、癌の組織型ならびに臨床的予後との関連について更なる研究を進めている。
|
Research Products
(1 results)