1997 Fiscal Year Annual Research Report
歪成分耳音響放射を用いた内耳微細障害の検出とその聴覚臨床検査としての確立
Project/Area Number |
09771319
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
柏村 正明 北海道大学, 医学部, 助手 (00281808)
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Keywords | DPOAE / 内耳機能 / 臨床検査 |
Research Abstract |
内耳外有毛細胞由来の音響反応である歪成分耳音響放射(Distortion Product Otoacoustic Emission : DPOAE)を用いた、他覚的な蝸牛機能検査の確立を目指している。 ヒトにおいて、刺激音圧、刺激音周波数比などDPOAEの測定条件の設定を検討した上で、測定値の信頼性、再現性、呼吸音による変動を実験的に検討し臨床応用のための基礎研究を終えている。それに基づき、ヒト正常耳および内耳性難聴耳において純音聴力閾値とDPOAE音圧の相関を求め、DPOAE音圧からの純音聴力閾値の推測を現在検討している。 一方、純音聴力検査のできない新生児において周波数特異性の高い他覚的聴覚検査として、新生児期の聴覚スクリーニングへの応用をほぼ確立した。さらに乳幼児における内耳性疾患の診断やシスプラチンなどの薬物による内耳性難聴の進行の経時的観察法としての有用性を確立し学会報告、投稿を終えている。また成人例の機能性難聴に対する有用性も確立している。さらにDPOAEによる蝸牛障害の早期検出が可能である症例を確認できたため、今後内耳性難聴の早期診断への応用を検討中である。 実験動物においてはDPOAE測定システムを確立したのちさらに改善中である。実験動物においてはDPOAEの個体差が非常に大きいため、個々の症例において強大音負荷による内耳の急性障害の検討など急性実験を試行中である。一方で同一個体におけるDPOAEの経時的安定性を実験的に確認できたため慢性実験への応用を検討している。
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Research Products
(1 results)