1997 Fiscal Year Annual Research Report
アレルギー反応を演出するマスト細胞活性化の細胞内シグナル伝達機構の解明
Project/Area Number |
09771346
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
中村 好克 岐阜大学, 医学部, 助手 (20283294)
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Keywords | 細胞内シグナル伝達 / マスト細胞 / ホスホリパーゼD |
Research Abstract |
I型アレルギー反応の初期で重要な役割を担う肥満細胞のモデル細胞であるラット好塩基球性自血病(RBL-2H3)細胞の細胞内シグナル伝達、特に情報変換酵素であるホスホリパーゼD(PLD)を中心に検討し、次のような成果を得ている。 1・最近ヒトのPLDのクローニングがなされ、それに続きRBL細胞の種であるラットのPLDもクロ一ニングされた。PLDの遺伝子レベルでの解析のためRBL細胞のPLDのアイソザイムの検討を行った。RBL細胞にはrPLD1α、rPLD1b、rPLD2が存在することが確認された。 2・サイトカラシンは細胞骨格で重要な役割を果たすアクチンの重合を阻害する物質である。これを利用しPLD活性化などの細胞内シグナルに対する細胞骨格の影響について検討した。サイトカラシンを処理すると細胞は球状化し、形態変化がみられた。一方、セロトニンの分泌応答はサイトカラシンによって増強された。さらにPLDの活性化もサイトカラシンの濃度依存的に増強された。PLDの産生物でセカンドメッセンジャーであるホスファチジン酸、1,2-ジアシルグリセロールの産生も増加した。 3・低分子量GTP結合蛋白質であるRhoファミリー(Rho,Cdc42,Rac)蛋白質が最近の活性化制御因子として注目されてきたのでRB細胞でのそれらの関与を検討した。Rhoファミリー蛋白質クロストリジウム毒素Bにより、RhoはボツリヌスC3毒素により機能阻害を受ける。これらを利用し、PLDの活性化に与える影響を研究すると三つの中でCdc42が重要であることが示唆された。また、プロテインキナーゼCやArf蛋白質も毒素Bにより阻害されることから、Cdc42と連携して、PLDの活性化に関与していると考えられた。
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Research Products
(1 results)