1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09771351
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
杉井 亜也子 大阪大学, 医学部, 助手 (20283781)
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Keywords | cochlea / endothelin / ET / ETA-receptor / ETB-receptor / EP |
Research Abstract |
RT-PCR法、DNAシークエンスにより、ラット内耳ではエンドセリンBレセプター(ETB-receptor)のmRNAが優位に発現している事が確認された。 エンドセリン(ET)をモルモット蝸牛の外リンパ液中に潅流した際、内耳直流電位EPの低下が観察された。この電位変化はETの濃度に依存性であった。ETA-receptorのアンタゴニストをETとともに内耳潅流すると、やはりEPの低下が観察されたが、EP低下の程度は約20mV緩和された。ETB-receptorのアンタゴニストをETとともに内耳潅流すると、EPの低下はほぼ完全に抑制された。 以上の結果から、1)ラット内耳にはETB-receptorが主として発現し、細動脈のトーヌスの調節を行っていること、2)ETB-receptorを活性化すると、血管収縮により内耳血流が減少し、内耳電位EPが低下すること、3)ETA-receptorもわずかではあるが内耳に発現しており、その活性化はETB-receptorの作用を代償する方向へ働くことか示唆された。内耳におけるエンドセリンおよびETB-receptorの活性化は、突発性難聴などの原因不明の感音難聴発症に関与する可能性があり、今後の臨床的研究により、それらの因果関係を検討していく必要性があると考えられた。
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