1997 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚系におけるephチロシンキナーゼの分子生物学的,細胞生物学的解析
Project/Area Number |
09771381
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
李 雅次 東京医科大学, 医学部, 助手 (50241055)
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Keywords | ephチロシンキナーゼ / topographic projection / 内耳 |
Research Abstract |
神経線維はその由来する細胞(前シナプス)間の位置関係が標的細胞(後シナプス)間でも保存される形で投射される(topographic projection)。このtopographic projectionは神経系のいたるところで見られるが、どのような機序でこの正確なネットワークが形成されるのかは不明であった。最近ephチロシンキナーゼ(RTK)およびそのリガンドであるephrinが位置情報を表す指標として機能しうることが報告された。 この研究では特に聴覚伝導路でのephとephrinの機能を明らかにするために、生後9日目のラットの蝸牛を用いてラセン神経節細胞と有毛細胞間でephとephrinの発現パターンを調べた。eph(ephA5,ephA6,ephA7,ephB1,ehk-2)とephrin(ephrin-A2,ephrin-B1)に対する抗体はSanta Cruz Biotechnology社(米国)製のものを用いて組織切片上で免疫組織学的な手法をもちいて検討した。このうちラセン神経節細胞で検出されたものは、ephA5,ephA7,ephB1,ehk-2,ephrin-A2,ephrin-B1であった。この結果は第21回ARO冬季会議で発表した(Abstracts Book,p 75)。western blot法による解析ではこれらの抗体が内耳で特異的にephとephrin蛋白に結合することが確証された。同時に内耳ではいくつかのephとephrinのisoformが存在することが示唆された。 今後、ラセン神経節細胞の培養システムを確立し、神経節細胞でのephとephrinの機能を明らかにしていく予定である。
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