1997 Fiscal Year Annual Research Report
成熟哺乳動物の網膜神経節細胞の細胞死の抑止と軸索再生に関する研究
Project/Area Number |
09771453
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
高野 雅彦 横浜市立大学, 医学部・附属病院, 講師 (40236253)
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Keywords | 網膜神経節細胞 / 神経再生 / 組織培養 / 逆行性標識 / 神経栄養因子 / 神経再生促進因子 / 蛍光色素 |
Research Abstract |
網膜神経節細胞の標識:実験動物として成熟ラットをもちい、深麻酔後、脳固定装置にて頭部を固定、開頭し、四丘体上丘に蛍光色素DiIもしくは4Di-10Aspを注入し、その後実験動物を飼育した。これらの蛍光色素は視神経すなわち網膜神経節細胞の軸索を逆行性に伝わり、神経節細胞の細胞体を標識できた。この蛍光色素によって標識された網膜神経節細胞は1カ月以上飼育したラットでも観察可能であった。 網膜組織培養:我々が既に報告しているcollagen培養法またはlamininを基質とした培養法などの器官培養法をもちいてこれら網膜神経組織を培養した。一定の条件を保つことにより培養約3日後から神経突起の再生を得た。この方法により神経組織、再生突起ともに数週間の生存維持が可能であった。この方法では他の生体観察系に比べ経時的に網膜神経細胞からの突起再生を直接顕微鏡下に観察、記録することができるという利点があり、培養液に様々な物質を添加し、その効果を検討することにより神経再生における促進因子、抑制因子を解明することができる。この網膜培養系を用い、神経栄養因子のBDNF、NT-4の再生促進効果を検討した。 この結果、いずれの因子も濃度依存的に網膜神経節細胞からの神経突起の再生を促進するとの結論を得た。 網膜細胞の生存維持:培養下の網膜での神経節細胞は軸索切断により変性、細胞死を生じる。この網膜を蛍光顕微鏡にて観察し、その標識細胞数を経時的に計測した。この方法にて培養液に加えた様々な因子が神経節細胞の変性による細胞数の減少を如何に抑止しうるかを検討した。神経栄養因子のBDNF、NT-4はいずれも網膜神経節細胞の変性を抑止し、生存を維持する傾向があった。
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Research Products
(1 results)