1998 Fiscal Year Annual Research Report
ラット角膜上皮創傷モデルにおけるサイクリンD1の細胞増殖におよぼす役割の検討
Project/Area Number |
09771468
|
Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
荒戸 照世 杏林大学, 医学部, 助手 (30241011)
|
Keywords | ラット角膜上皮創傷モデル / サイクリンD1 / サイクリンE / PCNA / 上皮基底細胞 / 角膜輪部 / 細胞増殖 |
Research Abstract |
角膜の上皮欠損は周囲の上皮細胞の欠損部位への伸展・移動と,その後におこる細胞増殖によって再生・修復されることが知られている.上皮欠損部への細胞移動の時期には上皮基底部よりもむしろ角膜輪部において分裂増殖が盛んであるが,上皮欠損部が被覆されると基底細胞の分裂増殖が開始され上皮は厚さ回復していくと考えられている.しかしながら,こうした細胞の分裂増殖のスイッチを直接つかさどっているものが何であるかは解明されていない.そこでラット角膜創傷モデルをもちい,細胞周期制御とくにG1期制御をつかさどるサイクリンD1やこれに遅れてG1後期に発現するサイクリンEの創傷治癒の各段階における発現の差異を免疫組織化学染色により検討した.上皮細胞の伸展・移動の時期には角膜輪部においてサイクリンEならびにサイクリンD1の発現が見られたのみならず,欠損部周辺の上皮基底細胞においてもこれらの発現が観察された.さらに上皮欠損部が被覆されると上皮基底細胞においてサイクリンEの発現が増大していた.増殖能についても抗PCNA抗体を用いた免疫組織化学染色で調べてみると,サイクリンの発現と増殖能が相関していることが明らかになった.これらの結果から,角膜創傷治癒時においてもサイクリンが増殖をつかさどる一因であること,また,上皮欠損部が完全に被覆される以前に上皮基底細胞においてもサイクリンの発現増大が見られる等の新しい知見が得られた.
|