1998 Fiscal Year Annual Research Report
高ビリルビンGunnラット胎児への肝細胞移植について
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09771488
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
大久保 辰雄 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (20277007)
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Keywords | 肝細胞移植胎児治療 |
Research Abstract |
本年度は慈恵医大DNA研究所と並行して,当教室内の設備を用い実験を行った。昨年に引き続き,UCSF,Fetal Treatment Center(Prof.Harrison)よりアドバイスを得た。成熟ラットへの肝細胞移植:70%肝切除を加えた成熟Wistarラットの門脈内に,コラゲナーゼ消化法により採取した肝細胞を移植し,1週間後組織切片上で移植肝細胞の生着を確認した。肝細胞を対象にした場合は通常のシャーレによる培養では失活する分が無視できず,単離直後の新鮮な細胞を移植することを基本とした。 ラット胎児への移植:妊娠18日令のWistarラット胎児を用い,子宮に直接30G注射針を刺入し,実体顕微鏡下に肝細胞の浮遊液を肝臓に注入した。肝臓内に血腫を作る問題はあるが,腹腔への注入よりむしろ局在がはっきりして,安定しているとの印象を得た。注入量を減らすことで生存率を上げることが可能であった。これにあわせて成熟動物でも移植先を腹腔から肝臓(門脈内)に変更している。 Gunn rat胎児への移植:同様の手技でGunn rat胎児への移植を試みたが,安定した機能評価はいまだ困難である。期待されたような結果がはっきり得られなかったことについては,ホストの細胞と移植した細胞が競合することが一因としてあげられる。機能発現よりもビーカー遺伝子の導入を行った細胞の移植と併用し,マーカー遺伝子の測定を併用しながら,生着率をあげる方法をまず通常の動物で模索することが肝要であると考えられた。 遺伝子導入(造血幹細胞):UCSFではヒト胎児肝臓から単離した造血幹細胞に,レトロウィルスを使用してNGFRの発現遺伝子を導入する実験にひきつづき参加した。種々の検討の結果,70%の効率で遺伝子を導入することに成功している。同様の手技でマーカー遺伝子を挿入した肝細胞を用いて検討を行う予定である。肝細胞を利用したex utero gene therapyの可能性も考えている。
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