1997 Fiscal Year Annual Research Report
各種フッ素含有修復物の接着様式が齲蝕抑制効果に及ぼす影響
Project/Area Number |
09771593
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小林 洋一 北海道大学, 歯学部・附属病院, 助手 (80231322)
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Keywords | AFM / 形状解析 / 接着界面 / フッ素含有修復物 / 耐酸層 |
Research Abstract |
新鮮抜去歯の頬側あるいは舌側歯頚部に円柱窩洞を形成し、従来型グラスアイオノマーセメント(Fuji Ionomer Type II : FJ)、光硬化型グラスアイオノマーセメント(Photac-Fil Aplicap : PF),コンポマ-(Dyract:DY)、フッ素含有ボンディング剤を含むコンポジットレジンシステム(FLUORO BOND+LITE-FIL II A:FB)およびコントロールとしてフッ素非含有コンポジットレジンシステム(Liner Bond II+CLEARFIL AP-X:LB)のいずれかをメーカーの指示に従って充填した。充填後、水中に1週あるいは4週間浸漬し、所定期間経過後充填物を通る切片を作製した。試料表面を10%H_3PO_420秒間処理後、界面のAFM観察を行うとともにAFM Line-analysisを用いて接着界面の形状解析を行った。AFM像ではFJとPFの界面の形状が類似し、DYとFBの界面の形状はLBに類似していた。AFM Line-analysisの結果、FJおよびPFにおいては界面象牙質が内部象牙質に比較して高い層を示し、セメントに接する界面象牙質が10%H_3PO_4処理に対する耐酸性を有していた。界面象牙質の耐酸層の窩底に垂直な方向の幅は、充填1週後でFJ:7.39(±1.69)μm,PF:4.97(±1.34)μm、充填4週後ではFJ:34.02(±28.21)μm,PF:25.21(±10.72)μmを示し、いずれの群においても時間の経過とともに耐酸層の幅が有意に増加した(Wilcoxen's rank sumtest,p<0.05)。これは、セメント含有フッ素が時間の経過とともに象牙質内部に拡散したためと考えられ、FJおよびPFでは耐酸層形成によって二次齲蝕抑制効果が期待できる。一方、フッ素含有のDYおよびフッ素含有ボンディング剤をシステムに含むFBにおいてはコントロールのLB同様、2種グラスアイオノマーセメントで認められたような界面象牙質の耐酸層は確認されなかった。コンポジットレジンと類似した接着様式を有するDY,FBにおいては、接着様式が含有フッ素の象牙質への拡散に影響を及ぼし、その結果、界面象牙質の耐酸層が形成されなかったものと考えられた。
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