1997 Fiscal Year Annual Research Report
拡偏性嫌気性菌剤徐放性高分子材料による高齢者根面ウ蝕予防
Project/Area Number |
09771606
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
仲又 俊夫 新潟大学, 歯学部, 助手 (20217821)
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Keywords | 根面ウ蝕 / メトロニダゾール / 抗菌性修復材 / 抗菌性の経時的変化 / 光硬化型グラスアイオノマーセメント / フッ素徐放性 |
Research Abstract |
急速な勢いで高齢化社会が進行している現在、歯根露出に継発する根面ウ蝕への対応が急がれる。本研究では根面ウ蝕に対する予防及び治療にメトロニダゾールを主剤とする3種混合抗菌剤の応用が可能性であるか検討するため、以下の研究を行った。 【材料および方法】〈3種混合抗菌剤添加α-TCPセメントにおける抗菌性の経時的変化の検討〉α-TCPセメント(ニューアパタイトライナーTYPE II 三金工業社製)粉末に3種混合抗菌剤を添加、作製した試片の長期間にわたる抗菌性の変化をBHI-血液寒天平板を用いて検討した。また、3種混合抗菌剤をセメント粉末に調合後冷蔵庫に保管した粉末で作製した試片の抗菌性も同様に検討した。〈3種混合抗菌剤を添加した光硬化型充填用グラスアイオノマーセメント(GIC)の基礎的及び臨床的検討〉3種混合抗菌剤を添加した光硬化型GIC試片の抗菌性をウ蝕象牙質より採取した細菌を用いて検討した。また、物性試験として試片の圧縮強度、溶解量及び試片からのフッ素溶出量を測定した。さらに本材を修復材として応用した場合の2次ウ蝕発生抑止効果について検討した。 【結果および考察】作製後2ヶ月間保管した試片でも十分な抗菌性が確認された。また、調合後5ヶ月経た粉末で作製した試片の抗菌性は調合直後の粉末で作製した試片のそれとほぼ同様であった。抗菌剤添加光硬化型GICは抗菌性を有し、しかもフッ素徐放性を有することが明らかとなったが、抗菌剤添加により圧縮強度の低下と溶解性の増加をもたらすことが確認され、本材料を臨床に応用する場合は注意深い適応症の選択が重要であると思われる。 現在、作製試片及び調合粉末の保管期間をより延長した場合の細菌学的検討ならびに抗菌剤添加光硬化型GICの臨床的検討を続行中である。期間が十分でないため最終的結論を出すまでには至っていないがこれまでのところ良好な成績を収めている。
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