1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09771622
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
管 俊行 徳島大学, 歯学部, 助手 (60243713)
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Keywords | エナメル質 / アパタイト / リン酸カルシウム / 粉末X線回折 / フッ素 / 結晶性 / 耐酸性 |
Research Abstract |
象牙質知覚過敏症の治療法として、アパタイトで即時に象牙細管を封鎖するアパタイト析出法を考案し、様々な検討を行ってきた。本研究ではアパタイト析出法が周囲組織に及ぼす影響、特にエナメル質および象牙質への影響を検討することを目的として、歯質の主成分であるアパタイト粉末を用いて、アパタイト析出法が歯質の結晶性に及ぼす影響を定量的に検討した。アパタイト析出液(1MCaHPO_4・2H_2O,2MH_3PO_4)5mlを入れたサンプル管内に、合成したアパタイト粉末1gを添加して攪拌(0〜5分)し、濾過、水洗、乾燥した。この粉末を後処理液(1MNaOH,0.1MNaF;1MNaHCO_3,0.3MNaF)5mlを入れたサンプル管内に再度添加して攪拌(1〜10分)した。アパタイト析出法施術前後におけるアパタイトの組織変化は粉末X線回析パターンの分析により、アパタイト粉末の結晶性は粉末X線回析ラインブロードニング法を用いた定量により検討した。その結果、アパタイト析出液によるアパタイト粉末の処理時間が30秒の場合、後処理液の種類、処理時間にかかわらず、アパタイト粉末の結晶性に変化は認められなかった。一方、アパタイト析出液による処理時間が1分以内の場合にはアパタイト粉末中にリン酸水素カルシウム二水和物のピークが検出された。その後、同粉末を後処理液にて処理するとリン酸水素カルシウム二水和物のピークは消失しアパタイト粉末の結晶性は有意に向上していることがわかった。また、ライトブロードニング法による1/β値の測定でも、アパタイト析出法処理後には3.5±0.1から4.0±0.2に上昇しており、これは同濃度のフッ化ナトリウムの場合(3.7±0.1)と比較して有意に高い値を示し、優れた歯質結晶性向上能を有することが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.SUGE et al: "Acid Resistance of Bovine Enamel after Calcium Phosphate Precipitation Method." Journal of Dental Research. 76. 180- (1997)
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[Publications] 川崎有希子ら: "アパタイト析出法がエナメル質の結晶性および耐酸性におよぼす影響について" 日本歯学保存学雑誌. 40春季特別号. 31- (1997)