1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09771659
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
茂木 信道 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (10230038)
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Keywords | 歯周組織 / 糖尿病 / 神経線維 / 免疫組織化学 / 歯周組織再生 / 創傷治癒 |
Research Abstract |
我々は、糖尿病による末梢神経障害がペプチドの作用を減弱、消失させていることや、さらに末梢軸索に対する外的侵襲が合成、分泌するペプチドの種類を変化させているということに着目し、糖尿病が神経系を介して局所における応答を変化させている可能性について検索してきた。 本年度は実験動物にはWister系雄性ラット(8週齢)20匹を使用した。実験的糖尿病の作成のため、ストレプトゾトシン(STZ:50mg/kg)を腹腔内に投与した。無投与群をコントロールとした。糖尿病確立後に歯肉切除を行い3日、7日、14日後に4%Paraform aldehydeにより灌流固定を行った。顎骨を摘出し、10%EDTAにて約2週間脱灰の後、免疫組織学的および免疫電顕学的に歯周組織の観察を行った。使用した抗体は以下の通りである。軸索構成蛋白質の観察にPGP9.5を、各種神経ペプチドに対してはSP、CGRPを、神経栄養因子の受容体としてNGFRを、成長関連蛋白にGAP43を、軸索周囲のシュワン細胞の検索にS-100蛋白を用いた。 糖尿病群の接合上皮において、通常観察されるはずのNGFR陽性神経は殆ど認められなかった。これは、接合上皮内に末端性軸索変性(ダイング・バック)がおきていたためと考えられる。創傷治癒に関しては、糖尿病群で大幅に遅れる傾向が認められた、切除部の再生歯周組織において非糖尿病群では、7日でNGFRの高い発現傾向が認められた。これは神経線維に対する侵襲により、NGFに対する需要が高まった結果と考えられる。対して糖尿病群では同時期のNGFRの発現が少なく、軸索、神経線維の伸展、再生が遅滞していることが示唆された、これはミクロアンギオパチーや高血糖などによって神経線維の再生が障害されているためであるか、あるいはまた周囲組織でのNGF等の成長因子の発現が衰えている等の理由が推察される。
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