1997 Fiscal Year Annual Research Report
電解液中放電処理によるチタン板上へのリン酸カルシウムの生成
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09771716
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
藤森 伸也 昭和大学, 歯学部, 助手 (00276601)
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Keywords | チタン / リン酸カルシウム / 放電 / コーティング |
Research Abstract |
チタンの生体親和性をさらに向上させるために,電解液中放電現象を用いて,リン酸カルシウム系セラミックスの薄膜コーティングを検討した。電解液としてリン酸水溶液(1〜5%)にリン酸三カルシウム粉末を過飽和に溶解したものを用いた。電極は被処理材であるチタン板(JIS2種)を陰極に,白金板を陽極に設置し,試作の電源で電圧を印加することにより,陰極近傍で放電現象を発生させ,電解液成分のコーティングを行った。SEM観察から電解液中放電処理後のチタン板表面は,電解液中のリン酸濃度が1〜2%では塊上の構造物が集結した表面構造内に一部針状結晶構造が観察された。リン酸濃度が3〜5%と増加するとコーティング層は多孔質構造になり,その中に針状結晶構造が観察された。断面のSEM観察から,いずれのコーティング層も5〜10μmの厚さであった。X線回折の結果,電解液中のリン酸濃度1%ではコーティング層からチタンのピークのみでリン酸カルシウムのピークは検出されなかった。リン酸濃度2〜5%ではCaHPO_4・2H_2Oの著明なピークが確認された。また,リン酸濃度4%,5%ではCaHPO_4・2H_2Oの他にCaHPO_4の弱いピークが確認された。EDX分析からコーティング層のCa/P値は,リン酸濃度1%,2%,3%,4%,5%でそれぞれ1.39,1.29,1.11,1.07,1.04であった。電解液中放電処理後のチタン板に熱処理を行い,X線回折で分析すると,コーティング層はβ-TCPへ変化し,リン酸濃度3%からはCa_2P_2O_7のピークも確認された。以上の結果,コーティング層はβ-TCPの組成を有し,熱処理前ではコーティング層の一部が,CaHPO_4・2H_2O,CaHPO_4となって結晶化したと考えられる。しかしコーティング層はリン濃度が高くハイドロキシアパタイトの組成に近づけるためには,電解液中のカルシウムイオン濃度を増加させ,コーティング層に供給することが必要であると考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Shinya Fujimori: "Calcium Phosphate Coating on Titanium by Spark Discharging in Electrolyte" Third International Congress on Dental Materials. 3. 182 (1997)
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[Publications] 藤森伸也: "電解液中放電によるチタンの表面処理" 日本バイオマテリアル学会 予稿集. 19巻. 80 (1997)
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[Publications] 藤森伸也: "電解液中放電処理法を用いたチタンの表面処理に関する研究" 歯科チタン研究会 講演抄録集. 11巻. 72-73 (1998)