1997 Fiscal Year Annual Research Report
局所機能圧・負担圧に関する基礎的研究(顎堤形態の相違および弾性裏装材が義歯床下組織の負担圧分布に及ぼす影響)
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09771722
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
織井 康互 日本大学, 歯学部, 助手 (20277453)
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Keywords | 顎堤 / 負担圧 / 義歯床下組織 |
Research Abstract |
義歯床下組織の負担圧分布様相に顎堤吸形態の相違が、どのような影響を及ぼすかについて検討を行うために、健常な無歯顎患者の顎堤と比較して1SD(中等度吸収型)、2SD(高度吸収型)顎堤高を減じ、顎粘膜厚径・被圧変位性を考慮したシミュレーションモデルを新たに作製した。そしてこれらのシミュレーションモデルから調製した総義歯義歯床下組織の負担圧分布を検討するため、顎粘膜を変形させずにその形態を作業模型に再現させるための最適な印象条件を得た。この印象条件により、被験義歯を調製し、咬合干渉の有無、排列位置の相違、咬合平衡の種類および人工歯の種類が、負担圧分布様相にどのような影響を及ぼすかについて検討を行った。まず、咬合平衡としてリンガライズドオクルージョンを選択し、健常な無歯顎患者の顎堤における上顎総義歯の中心咬合位、側方咬合位、片側弾性体咬みしめおよび試験片咬みしめ時の負担圧分布様相について検討をを行い、以下の結論を得た。 1.中心咬合位では、すべての顎位で、顎骨面の負担圧は、顎粘膜面のそれらと比較して著明に小さかった。2.右側方咬合位の負担圧は、中心咬合位と比較して、顎堤頂部、床縁部、口蓋部、頬側部およびポストダム部でそれぞれ有意に小さい。3.臼歯部ラバー咬みしめでは、右側方咬合位と比較して咀嚼側の負担圧は有意に増加し非咀嚼側の負担圧は有意に減少した。4.臼歯部レジン咬みしめでは、右側方咬合位と比較して咀嚼側の負担圧は有意に増加し非咀嚼側の負担圧は有意に減少した。なお、非咀嚼側の顎粘膜面は負の負担圧を認め、顎骨面は負担圧を認めなかった。 現在、咬合干渉、排列位置の相違、人工歯の種類が総義歯床下組織の負担圧分布様相にいかなる影響を及ぼすかについて検索中であり、今後中等度、高度顎堤吸収型のシミュレーションモデル間で得られたデータと、これらに弾性裏装材を適用した時のデータとの比較検討を行う予定である。
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