1997 Fiscal Year Annual Research Report
咬合変化に伴う顎関節内圧の変動と関節軟骨基質成分の動態との関連について
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09771742
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長坂 浩 東北大学, 歯学部, 助手 (70217983)
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Keywords | 咬合変化 / 顎関節腔内圧 / 関節軟骨 |
Research Abstract |
本研究の目的は、実験的に垂直的な咬合変化を惹起させたときに生ずる顎関節腔内圧の変動を解析し、関節軟骨基質成分の免疫組織化学的動態との関連性について検討することである。これまで、犬顎関節腔内圧を測定した報告は全く認められなかったことから、本年度における実験目的は、犬顎関節腔内圧の測定方法を確立することである。 実験動物は、成熟期のビ-グル犬を用いた。実験群として下顎臼歯を抜歯あるいは削合した咬合低下群と咬合挙上副子を作製した咬合挙上群を設けた。一方、対照群は無処置とした。実験期間中、固形飼料を用い同一条件下で実験動物を飼育した。 顎関節腔内圧の測定方法は、全身麻酔下に実験動物の上関節腔穿刺を行い、20Gテフロンカテーテルを腔内に留置した。次に、圧トランスジュサ-を接続し、観血的動脈血圧測定システムを用いて、関節腔内圧の波形を記録した。内圧測定の記録は、全ての実験動物において全身麻酔下の顎安静時、術者による徒手的な最大開口時、顎間固定による咬合時とした。 その結果、顎安静時の顎関節腔内圧は軽度の陰圧を示した。徒手的開口に応じて一時的に陽圧を示し、徒手力を開放すると顎安静時の陰圧にゆっくりと復位した。顎間固定により強固に閉口させると持続的な陽圧を示した。この顎間固定時の顎関節腔内圧は、咬合低下群が対照群より高く、咬合挙上群が対照群より低くなる傾向が見られた。 今後、各群の顎関節腔内圧を経時的に測定することで、垂直的咬合変化が顎関節腔内圧に及ぼす影響を明らかにする予定である。また、顎関節腔内圧測定の実験終了後に潅流固定し、左右顎関節部を採取し、免疫組織学的に観察することで、顎関節腔内圧と軟骨変性との関連を検討する予定である。
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