1997 Fiscal Year Annual Research Report
マウス唾液腺発癌に対する口腔細菌感染症のプロモーター作用に関する研究
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09771762
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
辻本 仁志 徳島大学, 歯学部・付属病院, 助手 (30263859)
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Keywords | マウス顎下腺 / 発癌 / 口腔細菌 / LTA / サイトカイン |
Research Abstract |
細菌による慢性炎症が発癌の促進因子として働くことが、上顎洞癌、胃癌などで示されている。唾液腺腫瘍との関係は未だ明らかでないが、小唾液腺炎を伴う化膿性口唇炎患者で口唇癌発生率の高いことが知られている。一方、lグラム陽性菌体、菌体成分リポタイコ酸(LTA)に抗腫瘍効果のあることも報告されている。本研究では、streptococcus sanguisとその菌体成分LTA投与のマウス唾液腺発癌に及ぼす影響につき検討を行った。雌ICRマウスの左顎下腺内にジメチルベンズアントラセンを投与し、一週間後より実験群1には生菌(1x10^8)、実験群2には熱処埋した死菌(1xl0^8)、実験群3にはLTA50μg、実験群4には基剤を左顎下腺内に週1回で12週間投与した。各実験群20匹用いた。前癌病変の管腔・嚢胞様病変は高頻度で発現し、実験群1-4でそれぞれ73、68、59、77%であった。癌の発生頻度は実験群1-4でそれぞれ14、0、9、27%であり、処理によって腫瘍形成の増加はなく、やや低下した。グラム陽性細菌、LTA投与による免疫反応としてIL-1β、IL-6、TNF_αの誘導が知られているため、菌体投与12時間でのこれらサイトカインの発現をRT‐PCRにて検索したところ、IL-6が新たに誘導され、IL1-βとTNFは菌体、LTA、基剤のいずれでも発現がみられた。マウス顎下腺癌細胞を用いたin vitroでの検素で、これらサイトカインは細胞株により異なった作用を示したが、LTAは細胞株YT21と61のいずれの細胞増殖も抑制した。以上より、口腔細菌の反復校与は、本実験系における発癌の促進因子としては作用しないことが明らかとなった。むしろ、顎下腺内に投与された菌体とLTAは直接的ならびにサイトカインを介して、腫瘍形成の抑制に働くと考えられる。
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Research Products
(1 results)