1998 Fiscal Year Annual Research Report
口腔扁平苔癬におけるケラチンおよび接着分子の発現状態とアポトーシスの関与
Project/Area Number |
09771781
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
内藤 浩美 自治医科大学, 医学部, 助手 (40271225)
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Keywords | 口腔扁平苔癬 / アポトーシス / サイトケラチン / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
口腔扁平苔癬(OLP)病変部の棘細胞症が上皮細胞の異常なのかアポトーシスの異常なのかを明確にすることを目的とし,OLP病変部上皮におけるアポトーシスの発現状態をアポトーシス関連抗原Bcl-2モノクローナル抗体を用いて免疫組織化学的に検討した。対象は病理組織学的にOLPと診断された30例とした。 その結果,アポトーシスの発現率は正常粘膜の発現と同様であった。また,上皮下リンパ球の浸潤の度合いや臨床型との関連も認められなかった。 さらに上皮細胞の分化の指標であるケラチンの発現を凍結切片を用いて蛍光抗体法により観察した。モノクローナル抗体はNo4,No13, AE3,AE5,903を用いた。 その結果,No4,No13は正常粘膜と同様の発現,AE3,AE5はやや減弱,903はやや増強傾向を認めた。No4,No13は食道型ケラチン,AE3,AE5は角膜型・表皮型ケラチン,903は表皮型ケラチンであり,OLP病変部上皮においては表皮型ケラチンの変化が認められた。 以上の結果から,OLPにおける上皮の変化にアポトーシスが関与している可能性は薄いと考えられた。これに対し,OLP病変部上皮内において上皮の分化に関与するとされている接着分子であるインテグリンα3,α6は正常粘膜より増強しており(昨年度報告),さらに表皮型ケラチンの変化が認められ,これらの分子がOLPの病態を考える上で重要である可能性が示唆された。
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