1997 Fiscal Year Annual Research Report
携帯型筋電計によるスプリントの咀嚼筋活動への影響の解析
Project/Area Number |
09771784
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
溝口 英治 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40245634)
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Keywords | 携帯型筋電計 / 口腔異常習癖 / 顎関節症 / スプリント |
Research Abstract |
【目的】 本研究は、顎関節症患者において夜間就寝時の咀嚼筋異常機能が原因の一つであるとの推定に基づき、夜間就寝時、スプリント未装着時、装着時の筋機能動態を比較検討する事により、スプリントが咀嚼筋活動に及ぼす影響を検討し、ひいては顎関節症症状に対するスプリントの作用機序の一端を明らかにすることを目的とする。 【対象と方法】 顎関節症と診断された患者のうち、自己申告または歯牙の咬耗の観察により、明らかに夜間の異常習癖があると診断された男性2名、女性4名を対象とした。被験者に携帯型筋電計を貸与し、左右咬筋中央部と側頭筋前腹相当部の皮膚上に電極を設置させ、夜間就寝時の筋活動を5日間記録させた(装着前)。その後、夜間就寝時にスタビライゼーションスプリントを使用した状態で、同様に筋活動を5日間記録させた。(装着時)。 【分析法】 1.筋電図の原波形は、包絡線形成器にかけて平滑化した。 2.筋の活動回数は、1個の波形を1回の筋活動として集計した。 3.波形の強さの解析は、各々の被験者に最大噛みしめを行わせたときの最大電位を基準としてスライスレベルを設定し、最大電位の3/4、1/2、1/4、を順にレベル4、3、2、採得可能な最低レベル(35μV)をレベル1とした。 4.被験者ごとに装着前、装着時の、各々の咀嚼筋における各スライスレベルのバースト出現回数と持続時間を求め、1日あたりの平均値を算出した。 【結果】 装着前と装着後の夜間筋活動のスライスレベルの平均は、装着前の方が高い傾向にあるが、統計学的有意差は認められなかった。 装着前と装着後の活動回数の比較では、装着後に明らかに回数が減少するものと、ほとんど変化のないものが認められた。 装着前と装着後の筋活動持続時間には、統計学的に有意差は認められなかった。 【考察】 今回の検討では、スプリント装着によって、一部の被験者では夜間異常機能活動の減少傾向が見られたが、活動量に変化の認められないものもあった。これは、臨床的にスプリントが有効な症例と有効でない症例があることと一致する。今後は対象の数を増やし、更にスプリントの装着が長期に及んだ場合の筋活動の差異、治療結果の違いと筋活動の変化を比較検討する。
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