1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09771836
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
堀内 信也 徳島大学, 歯学部付属病院, 助手 (70263861)
|
Keywords | ハイドロキシアパタイト / アルミニウム / 耐酸性 / 歯質強化 / リン酸カルシウム |
Research Abstract |
本研究は,アルミ鍋を用いてハイドロキシアパタイトを合成した場合,そのアパタイト粉末が非常に高い耐酸性を示すことが偶発的に見いだされたため、その耐酸性向上機構を解明する目的で計画されたものである. 容器として市販のアルミニウム鍋とプラスチック製ビーカーを用い,原料としてリン酸ナトリウムと塩化カルシウムをpH調整剤として水酸化ナトリウムをもちいた場合に、得られるハイドロキシアパタイトの見かけの耐酸性はアルミニウム容器を用いて合成した場合の方が高いことがわかった。そこでpHスタットを用いて、さまざまなpHに対する溶解性を検討した結果、見かけの耐酸性の差異は溶解度そのものの差異ではなく、酸性溶液に対する溶解速度の差異に起因することがわかった。アルミイオンの効果を検討するため、ビーカー中に試薬の金属アルミニウムを添加し、アパタイトを合成すると、非添加群と比較して優位(溶解速度定数として約20%)に溶解速度の小さいアパタイト粉末が得られた。しかし、金属イオンをビーカーに添加した場合に得られるアパタイト粉末の耐酸性はアルミ鍋でアパタイト粉末を合成した場合に得られる耐酸性と比較して低いものであった。したがって、アルミ鍋に不純物として含有されている成分がアパタイトの溶解速度に影響を及ぼしていると考え、EDAXにて最大濃度で検出された不純物である硫黄イオン等の効果を検討したが、著明な溶解速度の低下は認められなかった。EDAXによる分析では硫黄以外にも多くの不純物がアルミ鍋に含有されていることが示唆されており、アルミニウムイオンによるアパタイトの耐酸性向上の機構解析には今後より系統的な検討が必要とされる。
|