1998 Fiscal Year Annual Research Report
金属アレルギーに対応した矯正用金属線のコーティング法に関する研究
Project/Area Number |
09771882
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
宮崎 顕道 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (10209885)
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Keywords | 金属アレルギー / ポリウレタンゴム / 矯正用金属線 / 機械的性質 / 生体安全性 |
Research Abstract |
矯正用金属線にポリウレタンゴムをコーティングし、アレルゲンの溶出を防止する方法を考案し、昨年度は、漸面観察、フリクション測定、3点曲げ試験および溶出試験を行い、金属アレルギーが疑われる矯正患者に応用できる可能性を示した。 本年度は、剥離試験および生体安全性について検討を行った。 (1) 剥離試験:JIS6301(1995年版)“剥離試験方法"に従い、厚さ2.54mm、幅25.4mm、長さ60.3mmの金属片に接着面積が25.4×25.4mm^2になるように、primerを塗布した後、ポリウレタンゴムを金属片上で重合させたものを剥離試験片として用いた(with primer)。比較にはprimerを塗布していないものを用いた(without primer).剥離試験はクロスヘッドスピード50mm/minで行った。その結果、without primerの剥離接着強さは0.09kgf/mmを示しwith primerは0.8kgf/mmを示した。With primerはwithout primerに比較し約10倍大きな値を示した. (2) 生体安全性:生後約4週齢のS.D.系ラットの背部皮下に、幅2mm、長さ7mm、厚さ0.7mmの切断したポリウレタンゴムを埋入した。4週問および12週間後に埋入片と周囲皮膚組織を一括して採材し、パラフィン包埋を行った。約4μmの組織切片を作製し、ヘマトキシリン・エオジン染色を施して光学顕微鏡にて観察した。その結果、線維性結合組織による埋入片の被包化が認められた。また、外科的侵襲の治癒機転と思われるきわめて軽度な炎症性細胞浸潤を認める以外、為害性を思わせる組織変化は認められなかった. 以上の結果より、コーティング被膜はPrimerを併用することで剥離しにくくなることが示された。また、ポリウレタンゴムのコーティング被膜は生体に為害性のないことが認められた。
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