1997 Fiscal Year Annual Research Report
骨代謝回転の異なる実験的骨粗鬆症ラットに対するフッ素の影響
Project/Area Number |
09771883
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
加藤 尚一 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (40261028)
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Keywords | フッ素 / 代謝性骨疾患モデル / フッ素全身応用 / ラット |
Research Abstract |
平成7年度および平成8年度科学研究費により第一次予防的にフッ素を持続的に全身応用するための手段として,飲用水中にフッ素を低濃度に含む実験系を用い,骨代謝回転の異なる2型の骨粗鬆症ラット骨中にフッ素を蓄積させ,大腿骨中フッ素濃度分布と骨強度の関係について研究を行っている。 このなかで代謝回転の異なるラットモデルでは大腿骨中のフッ素濃度分布と,骨の構造体としての強度,骨組織としての強度との関係に異なる結果を得た。この関係の違いには骨の構造を正常に保つように生体が骨の幾何学的構造を変化させているパラメータの,SMAの関与が示唆された。骨形態の変化について検討を加えるために本年度の研究を計画した。 本年度実施した研究は, 1.動物実験モデルとして6週齢のSprague-Dawley系雌性ラットに1週間の予備飼育の後,卵巣摘出術を施術した。 実験飼育期間は210日間とし,この期間にフッ素を4種の濃度に調整した飲用水を飲用させた。 実験飼育終了14日前と4日前に塩酸テトラサイクリン10mg/kgを腹腔内投与するテトラサイクリン・ダブルラベリング法を応用した。 2.血漿中のカルシウム濃度,リン濃度,フッ素濃度,骨代謝マーカーとしてアルカリフォスファターゼ(ALP)活性,酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼ(TRACP)活性を測定した。 3.ラットの右側脛骨の体積,乾燥重量,灰化重量を測定した。 4.ラット右側大腿骨を樹脂包埋し,骨幹中央部より厚さ300μmの切片を作成し,砥石を用いて厚さ50μmの超薄切切片を調整した。 本年度得られた知見は, 1.血漿成分分析の結果からALP活性,TRACP活性共に実験群において有意に低下していた。 2.右側脛骨の体積測定の結果からは12.5ppm飲用群において実験群が危険率0.1%以下で有意に大きく,また,灰化重量においては実験群,対照群間に有意な差は認められなかった。 今年度作成した超薄切切片を用いてCMR像および蛍光顕微鏡像を観察し、平成10年度に実施を計画している低代謝回転型骨粗鬆症モデルとの比較を行い、骨代謝回転と骨形態へのフッ素の効果の関係を更に研究していく計画である。
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Research Products
(1 results)