1998 Fiscal Year Annual Research Report
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09771905
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
前田 初男 大阪大学, 薬学研究科, 助教授 (00229311)
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Keywords | アシルトリブチルホスホニウム塩 / ジカルボン酸ジクロリド / Grignard試薬 / 1,n-ジケトン / トリブチルホスフィン |
Research Abstract |
RCOCl(1)をRCOP^+Bu_3(2)またはRCOP(0)(OR')_2(3:R'=Et or iso-Pr)に変換することにより、その還元電位は著しく正側にシフトする(易還元性になる)とともに、その親電子体としての活性が非常に向上し、1を用いた場合困難であったケトン合成が2または3とRMgBrの反応により簡便に行なえることを前年度明らかにしている。この興味深い手法の、合成化学的に重要な中間体である1,n-ジケトン類の合成へのさらなる展開を目指し、ClCO(CH_2)_nCOCl(4:n=2〜6)由来のBU_3P+CO(CH_2)nCOP+BU_3(5)または(R′O)_2(O)PCO(CH_2)nP(O)(OR′)_2(6:R′=Et or iso-Pr)とRMgBrの反応について検討した。その結果、4のTHF溶液にBU_3Pを加え数分撹拌することによりin situで発生する5とRMgBr(R=Me or Bu)の反応により対応するRCO(CH_2)nCOR(7:n=4〜6)が高収率で得られることを見い出した。しかし、より合成化学的に重要な1,4-および1,5-ジケトン類を与えると期待されるClCO(CH_2)_2COClまたはClCO(CH_2)_3COClに本反応を適用した場合、満足すべき結果は得られなかった。これは、BU_3Pとの反応において、環化反応等の副反応が起こり、対応する5が円滑に発生しないことに起因すると推定された。そこで、これらの酸クロリドについて対応する6の合成を種々の条件下検討したが、不成功に終わった。しかし、興味深いことに、ClCO(CH_2)nCOCl(4:n=2or3)をBU_3Pと処理した後RMgBrと反応させるのではなく、ClCO(CH_2)nCOCl(4:n=2or3)のTHF溶液にBU_3PとRMgBr(R=Mc or Bu)の混合溶液を徐々に滴加すると反応は円滑に進行し、対応する7が収率良く得られることを見い出した。現在、操作的により簡便なこの方法を用いることにより、4と2種のRMgBrからに非対称なジケトン[R_1CO(CH_2)nCOR_2]の合成、ならびに予め発生させた2を用いるケトン合成法における問題点の克服が行なえないかさらに検討を行なっている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 前田初男: "Reactions of Acyl Tributylphosphonium Chlorides and Dialkyl Acylphosphonates with Grignard and Organolithium Reagents" Tetrahedron. 54. 12233-12242 (1998)
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[Publications] 前田初男: "Electrochemistry of Phosphorus and Sulfur Compounds:A Unique Tool for Organic Synthesis" Accounts of Chemical Research. 32. 72-80 (1999)