1998 Fiscal Year Annual Research Report
コンビナトリアル化学と分子設計を補完的に用いるヒトANPモデル化合物の効率的探索
Project/Area Number |
09771935
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
末永 俊朗 理化学研究所, 有機合成化学研究室, 先任研究員 (50260196)
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Keywords | Human ANP / コンビナトリアル化学 / コンビナトリアルライブラリ / 環状ペプチドモデル |
Research Abstract |
利尿性ペプチドであるHuman ANPはアミノ酸28残基から構成され比較的フレキシブルな構造を持つが,活性発現に重要なアミノ酸がPhe-8,Met-12,Ile-15でありこれらの疎水性側鎖は空間的に近傍に位置していることが推定されていた.この推定に基づきANPの非ペプチド化の第一段階として,これら疎水性側鎖を空間的に近傍に固定できるような構造を持つコンパクトなペプチドに誘導することとし,アミノ酸8残基以下からなる環状ペプチドが設計された.これらとその誘導体をライブラリとして合成することにより,活性を評価するとともに新たなANPモデル設計への寄与を目的として研究を行った.昨年度,まず環状ペプチドを合成するために必要なPhe,Met,Ile誘導体としてのβ-置換アミノ酸の合成法の確立を目的として研究を行い,汎用ルートの開拓に成功した.本年度は,まず昨年度開発した合成ルートを改良しつつPhe,Ile誘導体の合成を行った.環状ペプチドは固相上で鎖状のペプチドを合成した後各種保護基を脱保護することなく固相から切り出し,溶液中で環化と保護基の脱保護を行って合成することにした.そのため固相とペプチドの連結に光切断性のリンカーを採用し,合成と反応性の検討を行った.リンカーの合成と樹脂へのカップリングは問題なく進行し,固相上でのリンカーとアミノ酸とのカップリングもIRにより反応の追跡が可能なことがわかったが,嵩高いアミノ酸ではTentaGelのような反応性が高いと言われる樹脂を用いてもカップリングが進行しなかった.そこでリンカーと最初のアミノ酸を液相でカップリングした後樹脂へのカップリングを行うルートに変更した.現在ペプチド鎖の伸長と環化についての検討を行っており,ライブラリ化と得られた化合物の活性試験を行なう予定である。
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