1997 Fiscal Year Annual Research Report
筋型カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼIの異常に基づく疾病とその発症機構
Project/Area Number |
09771985
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
山崎 尚志 徳島大学, 薬学部, 助手 (20271083)
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Keywords | カルニチン / CPT I / ミトコンドリア / 脂肪酸β酸化 / 遺伝子構造 |
Research Abstract |
細胞内の長鎖脂肪酸の分解は主にミトコンドリアのマトリックスにおいて行われる.しかし、ミトコンドリアの内膜はほとんど全ての分子に対して不透過性を示すため、脂肪酸はそのままではミトコンドリア内膜を通過しマトリツクスに移行することが出来ない.カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼI(CPT I)は長鎖脂肪酸のアシル基をカルニチンに転移するタンパク質で、この働きにより長鎖脂肪酸はマトリックスへ移行することが可能となる.これまでの研究結果から、CPT Iには、発現している組織および酵素的性質の異なる2種のアイソフォーム、肝型と筋型の存在が示唆されていたが、タンパク質の単離および精製が困難なことから脂肪酸代謝の盛んな心臓や骨格筋に特異的に発現している筋型アイソフォームに関する研究、特にそのcDNAや遺伝子の単離は全く行われていなかったため、アミノ酸一次構造はもとより、その遺伝子構造や発現機構は全く明らかとされていなかった. 申請者らは、ラット褐色脂肪組織cDNAライブラリーから筋型CPT IをコードするcDNAの単離に成功し、続いてヒトの本タンパク質をコードするcDNAを単離しその構造を明らかとした.さらにヒトの筋型CPT Iをコードする遺伝子を単離解析した結果、本遺伝子はおよそ10kbpで上流領域にはアミノ酸に翻訳されない2つの択一的なエクソンが存在しそれぞれから転写が開始されること、これらエクソンのすぐ上流には他のタンパク質をコードする遺伝子領域が存在するという特徴的な構造を有していることを明らかとした. 現在、このような構造を有したヒト筋型CPT Iの遺伝子構造、特に上流領域の構造の意義を明らかとするため、ラットおよびマウスの遺伝子上流領域の構造解析を行っている.これらを比較し、種間の相違点を明らかとすることで、本遺伝子の発現機構の特徴を明らかとすることが可能となると考えている.
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Research Products
(1 results)