1997 Fiscal Year Annual Research Report
医療チームの機能と心理的問題に関する実証的研究ーチーム医療評価尺度の開発と臨床応用ー
Project/Area Number |
09772043
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
渡辺 俊之 東海大学, 医学部, 助手 (70240512)
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Keywords | チーム医療 / 医療環境 / 病院管理 / 集団心理 / リーダーシップ / コミュニケーション / 医療チーム / 多変量解析 |
Research Abstract |
対象と方法 本年度は、67項目から構成されるチーム医療評価尺度の作成と予備調査を実施した。A病院(4病棟210床の単科精神病院)とB病院(3病棟163床の総合病院の)医師、看護スタッフ、コメディカルを対象とした。前者からは69名、後者からは107名の回答を得た。 結果 A病院では、慢性期病棟において患者の感情やニーズの処理が高く、カンファレンスや教育が有効に機能している長期療養型の病棟では退行的な集団心理が低い傾向を認めた。退行的な集団心理には課題遂行(-.52)、集団維持(-.36)、上司リーダーシップ(-.40)、教育と指導(-.28)が負の相関を示し、精神的疲労感(.47)は正の相関を示した。チーム医療度を従属変数とし他の下位項目を独立変数として分析を行うと、奇与率0.66、課題遂行総合得点(0.26)、集団維持総合(0.38)、医師リーダーシップ(0.17)、教育と指導(0.11)、身体的疲労(-0.09)、精神的疲労(-0.12)からなる重回帰式が形成された。 B病院では、移植医療が行われている病棟において、課題遂行が有意に高かった。退行的な集団心理には、課題遂行(-.42)、上司リーダーシップ(-.27)、医師リーダーシップ(-.41)、コミュニケーション(-.26)、教育と指導(-.40)が負の相関を示し、精神的および身体的疲労感(.58,.40)は正の相関を示した。チーム医療度を従属変数とし他の下位項目を独立変数として分析を行うと、寄与率0.67、課題遂行総合得点(0.4)、上司リーダーシップ(0.25)、医師リーダーシップ(0.15)、コミュニケーション(0.1)、身体的疲労(-0.15)からなる重回帰式が形成された。 考察 両病院とも病棟の特性により、処理される情報や退行的集団心理が異なっていた。退行的な集団心理には上司や医師のリーダーシップが影響し、スタッフ個人の疲労感もそれに影響を受けることが示唆された。課題遂行、リーダーシップ、集団維持が高いほど、チーム医療の認識度が高まることが理解できた。
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