1998 Fiscal Year Annual Research Report
不活性X染色体のSex Chromatin Body形式に関わる因子
Project/Area Number |
09772046
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉田 郁也 北海道大学, 遺伝子実験施設, 助手 (90240275)
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Keywords | Sex chromatin body / ヒストンH4 / アセチル化 / 細胞融合 / microcell / X染色体 / 不活性化 / 細胞培養 |
Research Abstract |
マウス体細胞中にヒト由来の染色体としては不活性X染色体のみを持つ雑種細胞CF150では、ヒト不活性X染色体は晩期複製を保ち、X連鎖遺伝子の発現も抑制されているにもかかわらず、正常細胞中での不活性X染色体とは異なり、Sex chromatin body(SCB)を形成せず、ヒストンH4のリジン残基も高アセチル状態になっている。CF150細胞から不活性X染色体をヒト細胞に移入すると不活性化に関する異常がすべて正常状態に復帰することから、SCB形成に必要なヒト特異的因子がマウス細胞中には欠乏しているためヒト不活性X染色体はCF150細胞中ではSCBを形成せず、因子に覆われていない裸のクロマチンにはアセチル化酵素が容易にアクセスできるため高アセチルになると考えられる。この作業仮説のもと、SCB形成及びヒストンの低アセチル化に関わる因子のクローニングを目指してヒト全染色体についてCF150細胞への移入を試みた。鳥取大学:押村研より分与された単一染色体ライブラリーからmicrocell融合法を用いてCF150細胞へのヒト染色体の移入を行い、第9番染色体を除く全ての染色体を一本づつ含む雑種細胞の単離に成功した。現在、残り9番染色体の移入と、得られたクローンの詳細な細胞学的な検討を行っており、不活性X染色体のヘテロクロマチン化に関わる因子遺伝子の座乗する染色体の決定に向けて努力している。また脱アセチル化酵素の阻害実験を行う過程で、ヒストンH4の高アセチル化によって容易にX染色体の不活性状態が解除され再活性化と思われる状態を示す2倍体性のマウス細胞株を見出した。この事実は体細胞分裂を通じて不活性化状態が極めて安定に維持されるという従来の知見に反する点で興味深いと思われるので、更なる検討を加えている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Nishita,Y.,et al.: "Effect of CpG methylation on expression of the mouse imprinted gene Mest" Gene. 226. 199-209 (1999)
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[Publications] Park,J.I.,et al.: "Differentiative potential of a mouse porthenagenetic embryonic stem cell line revealed by embryoid body formation in vitro" Jpn.J.Vet.Res.46(1). 19-28 (1998)
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[Publications] Park,J.I.,et al.: "Trisomy 8 does not effect differentiatire potential in a murine parthenogenetic embryonic stem cell line" Jpn.J.Vet.Res.46(1). 29-35 (1998)