Research Abstract |
1)先行研究の整理と調査計画 食道癌のQOLに関する文献は,医師による術式の違いからみた術後経過に焦点をあてたものが多く,看護に関する文献はほとんどなかった。医学的視点からの研究では,腹部症状が退院後も続くことは指摘されているが,それが患者の社会生活の中でどの程度苦痛であり,また栄養摂取上実際どのような問題があるか明確にされていない。また,食道癌患者の心理的な問題についてもほとんど文献がみあたらなかった。そのため,一般的な癌患者のQOLの枠組みを参考に,食道癌患者の枠組みを仮説設定し,プレ調査として面接を行うことにした。一方,家庭での栄養調査は、24時間思い出し法や週間摂取量のアンケート調査など,いくつか認められる。しかし,例えば24時間思い出し法は,患者の負担が大きく,また患者の心理的なバイアスがかかるなど信頼性が十分ないなど,確立された方法論はまだない状況である。そのため,栄養士の協力を得,どのような方法が,患者にとって負担が少なく,またより正確に測定できるかを検討する必要があった。本年度は,文献などから食事摂取状況調査の思案を作成し,患者の協力の元にプレ調査の中で行ってもらった。 2)プレ調査の実施 プレ調査は,7名の患者に対して,入院時から退院後1ヵ月の中で4回面接を行った。内容は,主に不安を中心とした心理状態の把握,栄養上の問題,また患者が期待する術後の状態と社会生活の中でのギャップ,日常生活の満足度などである。現在7名のうち4名の調査を終え,結果の分析途中である。その中で,退院後1ヵ月の状態では,手術前に思い描いた期待する姿とギャップがあるという発言が多かった。症状の改善がみられないことも大きいが,50代〜60代の男性が多いことから社会復帰への不安,経済的な不安の声も強かった。栄養調査については,現在調査中である。
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