1998 Fiscal Year Annual Research Report
がんという病気を持ちながら生活をしている人にとってのゆとりとQOLとの関連
Project/Area Number |
09772105
|
Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
伊藤 由里子 福島県立医科大学, 看護学部, 助手 (60291564)
|
Keywords | ゆとり / QOL / がん患者 / がん看護 |
Research Abstract |
本研究の目的は、がんという病気を持ちながら生活をしている人にとって、ゆとりとは何か、QOLとは何かを明らかにし、ゆとりはQOLとどうかかわるものなのかを検討することである。この目的を達成するために、大学附属病院に入院中で、本研究への参加に承諾が得られたかん患者を対象に面接を行い、ゆとりと生活・人生の質について語ってもらった。平成9年度は12名のかん患者から、平成10年度は10名のかん患者から話を聞くことができた。対象者が語った言葉を大切に分析する方法は何かと考え、Spradleyの「The Ethnographic Interview」のMaking a Domain Analysisの手法を使ってデータの分析を行った。その結果、ゆとりについては、病気に対する気力・主体的な気持ち、心が前向きになったと感じられること、病気の意味を思い巡らせるゆとりなど、20のゆとりの様相が明らかになった。そして、この20の様相から、「がんという病気や死の意味」「がんであっても私らしく、前向きに生きていこう」「生活の中のゆとり」「人とのかかわりから得る生きる力」「視野の広がり」という5つのテーマを見出すことができた。QOLについては、一日一日を生きていくこと、自分のことは自分でしたい、納得して治療を受けていきたい、家族や誰かにとって必要な人間でありたいというような、がん患者にとって大事な生活の側面が明らかになり、これらは、「病気や人生に対する前向きな気持ち・態度」「人との関係」「転移・再発の不安」「死についての希望」という4つのテーマに分類することができた。以上の結果から、ゆとりとQOLとはどうかかわるものかについて、現在検討を行っている。 がん患者は生活の中で生きるための力や喜びを生み出す努力をしていた。患者の生きようという気カを看護婦が支えるには、患者の価値観やペースを尊重すると共に、体験を理解しなければならないことが示唆された。
|