1997 Fiscal Year Annual Research Report
がんという病気を持ちながら生活している人にとってのゆとりとQOLとの関連
Project/Area Number |
09772105
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
伊藤 由里子 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (60291564)
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Keywords | ゆとり / がん患者 / がん看護 / クオリティ・オブ・ライフ / QOL |
Research Abstract |
がんという病気を持ちながら生活をしている人にとって、ゆとりとは何か、生活の質あるいは人生の質とは何かを明らかにする目的で、大学附属病院に入院中のがん患者を対象に面接を行った。本研究への参加に承諾が得られた12名のがん患者から、ゆとりと生活や人生の質について話を聞かせてもらった。現在、対象者が語ったゆとりについての内容を、Spradleyの「The Ethnographic Interview」のMaking a Domain Analysisの手法を使って分析を行っている。これまでの分析で、以下の21のゆとりの様相が見出された。「今の自分の状況を直視する力がわいた状態」「病気の意味を思い巡らせるゆとり」「周りの状況に引きずられず、自分のペースを保てること」「自分の死について語ったり準備するゆとり」「死のことだって笑い話にしてしまう心のゆとり」「病気に対する能動的意志や気力」「病気に対してダメだと弱気にならない理由」「人生に対する前向きな気持ち」「心身を保っていくための知識や自分の方法」「病気を治すことに専念できる環境」「生活における楽しみ」「家族の健康・幸福」「自分にとって本当に価値あるもの、またそれに気づいたこと」「自分にとって大事なものが尊重されている生活」「感受性がとぎすまされた心の状態」「体裁を整える力、体裁を気にしない心」「人にサポートを求める力」「感謝の気持ち」「社会の一員としての存在価値」「生活を自分で自由にできること」「生活や気持ちがゆったりとした状態」である。 また、文献で、現在までがん患者のクオリティ・オデ・ライフ(Quality of Life以下QOLと略す)がどのように取り扱われているか、QOLの定義と構成要素について明らかにされていること、ゆとりという概念が一般にどのように理解されているかについて検討を行ってきた。
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