1997 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化予防に果たす高密度リポタンパク質レセプターの役割と関連する食事因子
Project/Area Number |
09780030
|
Research Institution | Nakamura Gakuen University Junior College |
Principal Investigator |
竹嶋 美夏子 中村学園短期大学, 食物栄養科, 助手 (00241183)
|
Keywords | 高密度リポタンパク質 / コレステロール / 動脈硬化予防 / HDL-レセプター / アポA-I / 食事因子 |
Research Abstract |
高密度リポタンパク質(HDL)が、心筋梗塞、動脈硬化を抑制することはよく知られている。その機構について、HDLのreverse-cholesterol transportメカニズムが提唱されているが、その実体は不明のままである。これを解明するためには、コレステロールの最終運搬場所である肝臓細胞膜のHDL-レセプターの同定とその分子解明が必要である。そこで、HDLの主要アポタンパク質であるアポA-IをDNP化して、リガンドブロッティングを行う、迅速かつ簡便なHDL-レセプターの検出法を開発し比較検討した。モデル動物として、HDLが少なくLDLが多い点でヒトと似ているウサギを用いた。昨年度までの検討から、0.5%コレステロール添加食でウサギを5週間飼育すると、肝臓のHDL-レセプターの発現は、コントロールに比べ2倍以上増加することがわかった。これは、末梢組織の余剰のコレステロールを肝臓に逆輸送し、異化させるためのアップレギュレーションが働いたと考えられる。また、10%ペクチン添加食でウサギを5週間飼育すると、肝臓のHDL-レセプターの発現は0.5%コレステロール添加食のウサギと同様に、コントロールと比べ2倍以上増加した。これは、食物繊維であるペクチンが、HDL-レセプターの発現を増加させ、動脈硬化を予防することを示唆している。そこで、さらにHDL-レセプターを高進する食事因子を解明することにより、動脈硬化を予防できるのではないかと考えた。本年度は、0.5%コレステロール添加食、10%ペクチン添加食、10%ペクチン+0.5%コレステロール添加食、5%コーン油添加食、5%コーン油+0.5%コレステロール添加食、コントロール食の6群でウサギを5週間飼育し、HDL-レセプターの発現を調べた。その結果、0.5%コレステロール添加食、10%ペクチン添加食ウサギの肝臓のHDL-レセプターの発現は、昨年までと同様に増加した。しかし、食物繊維であるペクチンとコレステロールとの併用ではウサギの個体差が大きく、はっきりとしたデータが得られなかった。来年度は、実験方法の再検討を行い、また、ウサギの数を増やして研究を進めたい。
|