1998 Fiscal Year Annual Research Report
「表現運動」の授業に関する研究-創造的な学習過程とそれを促す教師活動に着目して-
Project/Area Number |
09780071
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
東原 芳美 広島大学, 学校教育学部, 講師 (40263660)
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Keywords | 舞踊 / 大学生 / 創造的な学習 / 指導者の手立て / 発想・思考のひろがり / 運動のひろがり |
Research Abstract |
広島大学附属三原小学校では、数年にわたって「自己実現としての創造性を育む初等教育とその研究」に取り組んできた。筆者は「表現運動」の担当教諭らとともに「創造的な学習における拡散と収束の過程」について検討してきた。しかし今年度は、都合により附属小学校と共同の研究を進めることができなかったので、広島大学学校教育学部の舞踊Iの授業(筆者担当)を対象にして検討した。指導者が学習者のイメージ思考や運動を広げる活動・絞りこませる活動をどのような手立てで行なっているのかという点を中心に探った。その結果、次のような学習と指導が有効であることがわかった。(1)(1)課題(題材)から連想・イメージする言葉をできるだけ出し(拡散)、(2)その中から動きにできそうなものや印象的なものを選び(収束)、(3)オノマトペ(擬音語・擬態語)に置き換える。ここでオノマトペに置き換えさせることによって、学習者はイメージを運動に変換しやすくなるようである。(2)(1)課題(題材)から連想・イメージする運動をできるだけ出す(拡散)。ここでは、指導者が次々といろいろな場面を設定しながら雰囲気づくりをしたり、速さや空間・身体の使い方に変化をもたせるような言語を使用することが有効である。(2)動きながら持った印象的なイメージを出し、(3)そのイメージをもとにさらに一連の運動を仕上げる。グループ創作の場合は、個人の短い運動やイメージを二人組やグループでつなぎ合わせて拡散させ、それをもとにして再考(収束)させることもできるようである。今年度は、大学生を対象に授業担当者である筆者が分析を行なったが、さらにこの授業のVTR記録を初等教育の教材として使用し、児童との比較等、学生たちにさまざまな視点から分析をさせていく予定である。
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