1998 Fiscal Year Annual Research Report
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09780104
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Research Institution | Seiryo Women's Junior College |
Principal Investigator |
大森 重宣 星稜女子短期大学, 経営実務科, 助教授 (90213868)
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Keywords | 加齢 / 高温環境 / 体温調節 / 主観的温度感覚 |
Research Abstract |
これまでの調査結果から高齢者は若齢者と比較して、発汗量に対する飲水量が少なくなる傾向を示し、これが高齢者の熱中症等の原因と考えられた。そこで本年はこれまでの飲水量が少なくなる傾向の要因として主観的温度感覚に着目し、高齢者(42名:65歳〜81歳 男性33名 女性9名)と若齢者(46名:19歳〜20歳 男性46名 女性4名)を比較研究した。WBGT24.0℃の環境温度で水温20℃と40℃の二種類の水を準備し、同時に右手を20℃左手を40℃に入水してその温度感覚を温度感覚表により申告させ、その差について検討した。高齢者は加齢に伴い冷水と暖水に対する温度感覚差が小さくなる傾向がみられた。また若齢者では冷水温感覚に対して暖水温を正確に捉える傾向を示したが、高齢者では認められなかった。高齢者の生理的機能の特徴は応答に時間がかかり、その応答には誤差が多いと報告されている。本調査に於いても若齢者と比べ申告温度差の不正確がみられ、これを指示する結果であった。高齢者の自律性体温調節反応の特徴は、対寒反応における寒冷刺激による熱産生開始と皮膚血管収縮の遅れと不正確、耐暑反応での発汗量減少と皮膚血流増加である。このため高齢者は高温を快適温度として選択するなど行動生体温調節反応により自律性体温調節反応低下を補償するとされる。しかし温度外乱が大きくなれば、本調査結果に見られるように正確に温度を把握できず、飲水量減少等により熱射病等に罹患する傾向があると考えられよう。 体温恒常性の維持が加齢に伴い困難となった高齢者は、本調査結果から温度感覚も低下、混乱する傾向が認められ、高齢者の温度外乱による事故防止のためには、高齢者の主観的温度感覚ばかりでなく環境温の客観的設定が必要であると考えられる。
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Research Products
(1 results)