Research Abstract |
本年度は,MDL基準を用いたデータ解析法の開発の一つてして,品質管理における統計的工程管理のための新たな方法論を提案した. 現在,リモート・センシング技術の発達により,製造工程における品質データがリアル・タイムに獲得できる状況にあり,それらを活かした管理技術の開発が望まれている.工程異常の検出,異常発生時点推定,異常パターンの識別を迅速に行うことは,原因追求のために有効であると期待される.本提案手法は,Minimum Description Length(MDL)基準を用いて,工程異常の検出,異常発生時点の推定および異常パターンの識別を一貫して逐次的に行うものである。近年,MDL基準の工程管理への適用に関する研究はいくつか報告されているが,本研究では計量値の品質データが得られる工程を対象としており,異常パターンの識別問題まで考慮した.最初に,本研究で想定する工程異常パターン(Shift,Trend,Peak)の識別のためのMDL基準の導出を行った.次に,MDL基準による工程異常検出,発生時点推定,識別の手順を明確に定式化した.また,提案方法の有効性を検証するために,シミュレーション実験を行った. その他のデータ解析法については,MDL基準を用いた判別木モデル推定の精度に関する考察,コンジョイント分析におけるサンプルの分類へのMDL基準の適用を進めている.判別木モデルにおいては,予測精度と真の要因の抽出率という観点から,実データによる考察を行っている.コンジョイント分析においては,RANKLOGITモデルを仮定することにより,サンプル分類をモデル選択問題としての定式化が可能となり,実データへの適用やシミュレーション実験により,MDL基準を用いた場合の有効性を検証する.本年度は,その準備として実データの収集,RANLLOGITモデルを推定するためのプログラム作成を行った.
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