1997 Fiscal Year Annual Research Report
減農薬による環境リスクの軽減を目的としたカブトエビの工学的使用方法に関する研究
Project/Area Number |
09780510
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
上月 康則 徳島大学, 工学部, 助教授 (60225373)
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Keywords | カブトエビ / 農薬 / 生態系リスク / 濁度 / 人口ふ化 / 水田管理 |
Research Abstract |
カブトエビを用いた雑草防除に関する検討を室内実験と現地観測から行った.その結果以下のような成果を得た. 1.カブトエビの土壌掘潜行動に伴う濁度による光量阻害作用 a)管理の異なる3種類の水田の土壌を用いて実験を行ったところ,水田によって濁度の発生状況は異なった.その理由は粒径から説明することはできなかった.b)本研究で用いた水田の雑草では,発芽を抑えるためには8000lux以下にまで光量を遮る必要があった.これには濁度1000程度,カブトエビ80個体/m2程度必要と推算された.ただし,カブトエビの這い回り効果によって,さらに低密度でも効果はある.c)効果的に濁度を高める方法として,分散剤を添加することを考えた.8種類の分散剤について濁度増加の効果を検討してみたところ,リグニンスルホン酸カルシウムが最も良好な傾向が得られ,約3割濁度の増加が見込めた.ただし,背甲長が8mm程度にまで成長しないと顕著な効果は見られない. 2.カブトエビの自然発生と水田管理に関する検討 a)室内実験からのカブトエビは代かき時に浮上した卵から発生し,土壌からは発生する可能性は極めて少ない.b)カブトエビの卵は土壌表面1.5cmまでに95%産みつけられることを室内実験から明らかにした.c)農閑期にビニル栽培をし,降雨時の水管理が良い水田では,80%の確率でカブトエビが発生していた.一方,農閑期に放置,水管理が悪い水田ではカブトエビの発生はみられなかった.d)カブトエビを60日間乾燥保存していたものの孵化率は5%程度であった.しかし,人口孵化を試みると,光量500luxの条件下で,産卵直後の卵であっても70%の孵化率を得ることができた.
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Research Products
(1 results)