1998 Fiscal Year Annual Research Report
アクチン様タンパク質Human ARP2、ARP3の細胞内における機能の解明
Project/Area Number |
09780666
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
大沼 雅明 久留米大学, 分子生命科学研究所・高分子化学, 助手 (20223901)
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Keywords | 細胞骨格 / アクチン / 血小板 / リン酸化 |
Research Abstract |
本研究遂行中、WelchらによってARP2,.ARP3は他の複数のタンパク質と複合体を作っていることが明らかになり、以後この複合体(Arp2/3)の細胞内での動態を調べるべく研究計画を変更した。まずHuman ARP2,ARP3に対するウサギポリクローナル抗体を作製し、この抗体を用いてヒト血小板を材料としてその局在を調べたところ、ARP2/3は未刺激の血小板では主に細胞質画分に存在するが、TRAPによって血小板刺激を行うと細胞質画分から細胞骨格画分に移行することが示された。ARP2/3の細胞骨格画分への移行は、血小板凝集を阻害する抗体の存在下では阻害を受けなかったが、PI3-kinaseインヒビターであるwortomanninや、rhoに対する特異的なインヒビターであるedinの存在下で阻害を受けることが示された。このことにより、ARP2/3の細胞内局在性がTRAPのターゲットであるトロンビンレセブターおよびその下流に位置するPI3-kinase、rhoを介するシグナル伝達経路のさらに下流で制御されていることが示された。また血小板をCalyculin等のプロテインフォスファターゼインヒビターで処理すると、細胞骨格画分中のARP2/3が速やかに消失することが分かった。このことはARP2/3の細胞内局在の制御にタンパク質リン酸化が何らかの形で関与していることを示しているが、現在までのところARP2およびARP3のリン酸化が局在性の制御に関わっているという結果は得られておらず、Arp2/3を構成している別のサブユニットのリン酸化によって局在性の制御がなされている可能性がある。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] A.G.Terasaki,M.Ohnuma,and I.Mabuchi: "Identification of Actin-Binding Proteins from Sea Urchin Eggs by F-actin Affinity Column Chromatography" Journal of Biochemistry. 122・1. 226-236 (1997)