1997 Fiscal Year Annual Research Report
ネコ大脳輻輳領域の長潜時領域-短潜時領域間の関連についての研究
Project/Area Number |
09780766
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
戸田 春男 新潟大学, 医学部, 助手 (10217507)
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Keywords | VISUAL CORTEX / VERGENCE EYE MOVEMENT / CAT |
Research Abstract |
ネコ大脳高次視覚領の一つである外側シルビウス上領尾側輻輳領域に存在する短潜時領域及び長潜時領域(脳内微小刺激によりそれぞれ短潜時、長潜時で輻輳運動が誘発される)間の関係を、両領域間で視覚応答の潜時を比較することで検討した。実験には成ネコ3匹を用い、必要な手術はあらかじめペントバルビタール麻酔下で無菌的に行った。記録実験は覚醒状態で行った。脳内微小刺激及びニューロン活動はガラスタングステン電極で密閉式チェンバを通して行い、両眼の眼球運動は磁気コイル法で記録した。視覚刺激は計算機制御の下、レール上を4種類の速度(高速、中速、低速、停止)でネコに向い接近する指標を用いた。潜時は、視覚刺激開始からニューロン活動が視覚刺激2秒前から1秒前の間の平均ニューロン活動+2SDを超えるまでの時間とした。 短潜時領域から46個、長潜時領域から24個のニューロンを記録した。短潜時領域ニューロンの平均潜時は558ms,911ms及び1647ms(夫々、高速、中速、低速刺激)であった。一方長潜時領域ニューロンの平均潜時は同様に711ms,1070msおよび1742msであり、短潜時領域と統計学的な有意差がなかった。この結果は長潜時領域→短潜時領域の順に情報が送られるのでなく、両領域が独立並行して入力を受け、脳幹に出力を送るが、長潜時領域からの出力は間接的で遅延を伴う、という仮説を支持する。ニューロンの潜時は、短潜時領域が長潜時領域よりむしろ短い傾向にあり、これはデータの蓄積による更なる検討を要すると思われる。また、自発輻輳と関係したニューロン活動が、短潜時領域に比べ長潜時領域に多く見られる傾向があり、これは別の研究による検討を要すると思われる。今年度の研究成果については、現在学会発表及び論文投稿の準備中である。
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