1997 Fiscal Year Annual Research Report
発生工学的手法を用いたけいれんモデル動物の開発とその解析
Project/Area Number |
09780783
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
西川 慶子 広島大学, 理学部, 講師(研究機関研究員) (40257308)
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Keywords | けいれん / 脳・神経系 / 遺伝子欠損マウス |
Research Abstract |
けいれんモデル動物作出のために、申請者らによってクローニングされたけいれん関連遺伝子SEZ-6の遺伝子欠損マウスを作製した。遺伝子欠損マウス作出に用いたターゲティングベクターは、第二エクソン中にPGKプロモーター+ネオマイシン耐性遺伝子を挿入し、5'側に7.6kb、3'側に1.3kbの相同領域を持ち、レポーター遺伝子としてlacZ遺伝子を含むものと含まないものの2種類である。ES細胞に上記のターゲティングベクターをエレクトロポレーションによって導入し、相同組み換えの起こった細胞を選んでキメラマウス作製に用いた。相同組み換えの起こったES細胞は生殖系列に伝わり、ヘテロマウスを得ることができた。さらに、ヘテロマウスの掛け合わせによって、遺伝子欠損ホモマウスを得ることができた。ヘテロマウス、ホモマウスとも稔性や保育行動に異常はなく子孫を残すことができた。そこで、遺伝子欠損ホモマウスにおいて正常な転写産物が作られていないことを確認するためにノーザンブロットを行なった。その結果、遺伝子欠損ホモマウスでは正常な転写産物は存在せず、挿入された遺伝子の分だけ長くなった転写産物のみ存在した。ターゲティングベクターの構造から、ホモマウスでは短いタンパク質が作られることが予想されるが、機能ドメインを含まないのでおそらく、SEZ-6タンパク質としての活性はないと考えられる。したがって、SEZ-6遺伝子は生命の存続には必須でないことが示唆された。または、類似のファミリー遺伝子が存在しSEZ-6の機能を代償しているのかもしれない。SEZ-6遺伝子はけいれん誘発剤により発現量の変化する遺伝子としてクローニングされた遺伝子なので、遺伝子欠損ホモマスウのけいれん誘発剤に対する感受性を調べた。予備的な結果ではあるが、ホモマウスはヘテロマウスや野生型マウスよりけいれん誘発剤に対して感受性が高いことが示された。
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