1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09871019
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Research Institution | Kyoto City University of Arts |
Principal Investigator |
大串 健吾 京都市立芸術大学, 音楽学部, 教授 (00203745)
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Keywords | ストループ効果 / 絶対音感 / 反応時間 |
Research Abstract |
通常、ストループ効果とは、色と文字の意味が一致していないカラーワードに対して、被験者に色の反応を求めたとき、色と文字の認知の間に葛藤が生じ、反応時間が増大するという視覚心理学の分野における興味ある効果である。しかしこれまでに、聴覚心理学の分野ではストループ効果に対応する現象は見い出されていなかった。ここでは、色と文字の意味に対して、絶対音感保有者の知覚する音高(音名)と発声した声の意味(音声)を対応させ、聴覚の分野においても視覚におけるストループ効果と同様の効果が生じるかどうかを調べた。 本年度は、音声刺激としては、男性歌手と女性歌手1人づつに1オクターブ内のド音からシ音までの7音をそれぞれ、ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、という発音で発声してもらいこれらを録音した。これらの49音をパソコンによりランダムな順序に編集し、さまざまな程度の絶対音感を有する多数の被験者に聴取させ、できるだけ早くその音名を答えさせ、反応時間を測定した。その結果、音名と発声の意味(音声)の認知的葛藤すなわち聴覚的ストループ効果がかなり生じていることを明らかにした。さらに実験刺激は同じであるが、単に音名だけを答えるのではなく、発声した声の意味(音声)も答えさせたところ、さらに認知的な葛藤は大きくなった。また、音声-音名の順に答えさせるよりも、音名-音声の順に答えさせた方が、葛藤は大きくなった。
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