1998 Fiscal Year Annual Research Report
気候変動と大気エアロゾル中のメタンスルホン酸の変動
Project/Area Number |
09874092
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
向井 人史 国立環境研究所, 地球環境研究グループ, 主任研究員 (30157713)
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Keywords | メタンスルホン酸 / DMS / エアロゾル |
Research Abstract |
島根県隠岐島及び太平洋上で、大気粉じんのサンプリングを年間を通して行った。 隠岐島では、ローボリウムエアーサンプラーを3台用いて、1ヶ月ごとのサンプリングを継続している。太平洋上では、日本-カナダ間を航行するスコーグラン(SeaboardInternational Shipping)に、半日ごとに切り替わるタイマー式のフィルターパックを装着して、航路上でサンプリング繰り返した。日本一カナダ間の航海は年間10回程度であり、季節変化や場所での変化が観測できる。本研究ではこれらの試料を分析し、気温の変化などと対応させることによって、自然界のDMSの発生量と気候の関係を明らかにすることを目的としている。 これまでの太平洋上の観測結果によると、北太平洋上の春のメタンスルホン酸濃度は、隠岐島と同等かそれ以上になっている。北海道の北部地域は春に最大を示すが、さらに北の緯度のベーリング海では、最大になる季節が少し遅れる傾向があった。 年々変動に関しては今後さらに測定していく予定であるが、本年の観測によると、エルニーニョ現象がおこった今年(1998)の北太平洋上のメタンスルホン酸濃度は、前年に比べてかなり低めである傾向があった。以前の隠岐での観測もそのような傾向を示しており、太平洋全域でそのような傾向があるかもしれない。今後、これがどのような気象条件や海洋の動きと結びついているのか検討し、気候との因果関係を解析する予定である。
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