1997 Fiscal Year Annual Research Report
低エネルギーイオンによる表面異種原子の拡大像の試み
Project/Area Number |
09875008
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
高村 三郎 茨城大学, 工学部, 教授 (60250982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小又 基彰 茨城大学, 工学部, 講師 (60007797)
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Keywords | イオン顕微鏡 / 低速イオン散乱 / 元素分布 |
Research Abstract |
低速イオン散乱法は、1keV以下の不活性ガスイオンを固体表面に入射して、弾性2体衝突によって散乱したイオンのエネルギー分布から表面元素の組成を求めるものである。低速イオン散乱法は、表面の広い範囲の平均的な元素情報が得られる。今回、エネルギー分別イオンの拡大像から、微細領域の元素分布が得られるかの可能性を試みた。実験は、 1)静電レンズ系を作製し、0.5keVのヘリウムイオンに対して、イオン方向に垂直に立てたステンレスメッシュの約20倍の像を観測した。 2)タイムオブフライト法によって、散乱イオンのエネルギー分布を得る測定系を組み立てた。短時間パルスの発生には、当初、水銀パルサーによって自作したが、結局、DG535パルス発生器(今回の購入品)とHV1000高圧発生器を用いた。タイムオブフライト法によるシリコン単結晶の散乱実験を行った。 3)0.5keVのヘリウムイオンの散乱イオンの反射像をマイクロチャンネル板と蛍光板に結像させ、像の一定時間貯め込みを浜松ホトニクス製のCCDカメラC5985(今回の購入品)を用いて画像処理を行った。ビーム系の軸合わせ、微弱光の検出などの作業が難しく、観測に至らなかった。 今回の実験では、結晶表面での散乱イオンをエネルギー分別し、分別イオンの拡大像を得ることを考えたが、技術的に難しかった。次の別方式を提案したい。 イオン銃のビーム径を0.05μmまで収束する技術はメーカーにあるので、散乱イオンのエネルギー分布をデジタルスコープによって測定するか、イオンを静電的にエネルギー分別してコンピュータ処理し、特定エネルギーを識別する。イオンビームを走査することによって特定元素の拡大像を得る走査型イオン顕微鏡の実現は充分可能と思われる。
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