1997 Fiscal Year Annual Research Report
鎖長を制御した一次元的有機結晶光機能性材料作成の試み
Project/Area Number |
09875171
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
磯田 正二 京都大学, 化学研究所, 助教授 (00168288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 哲也 京都大学, 化学研究所, 助手 (40224109)
小林 隆史 京都大学, 化学研究所, 教授 (50027059)
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Keywords | 有機一次元鎖 / 鎖長制御 / 光機能 / 多層膜 / 界面整合性 |
Research Abstract |
有機材料の応用の中でもその非線形光学特性は無機材料にはない分極性の高さから大きな期待を集めている。本研究のような一次元的d電子系についての研究は少ない。電子的な一次元的相関を有する分子結晶においてその相関長を制御して、物質の光学的特性の相関長依存性を明らかにしようとするものである。特に本年度は、分子間に強いd電子の相関を持つ一次元系でその相関方向を基板に垂直に成長させ、更に、この分子と整合性は良いが電子的な相関はない他種分子を積層することで、共役長の揃った積層膜の作成を試みた。 対象となる試料としてはグリオキシムの金属錯体を用いた。それは金属d電子が一次元的相関系を持つことが判っていることと、各種の金属原子を用いることが可能である点とによる。グリオキシムの金属錯体は様々な種類があり、それらの試料の合成をまず行い、これらの共役系の電子的相関を阻害する分子としてキノン系分子を考えた。 薄膜試料作成は分子ビーム成長によりエピタキシャル成長させ、これまでに報告しているpoint-on-line整合性を作業指針として薄膜作成を行った。その結果、適切に選択された基板上にグリオキシム金属錯体の一次元系を垂直に成長させ、成長時間により鎖役長の制御を行い、さらにその上にキノン系分子を数層成長させることで共役系のタ-ミネーションを行う事ができた。 ここで、興味ある結果として、あるグリオキシム分子上にキノン系の分子をエピタキシャル成長させると、グリオキシム結晶上にのみキノン系分子が成長する選択的重畳成長がみられることが判った。これを利用すれば、グリオキシムの鎖長のタ-ミネーションをほぼ完全に行うことができることになる。その結果については、現在論文投稿中である。
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[Publications] Kobayashi T, Furukawa C, Ogawa T and Isoda S: "Structures of Germanium-and Silicon-phthalocyanine Thin Films;Polymorphism and Isomorphism" J.Porphyrine and Phthalocyanines. 1. 297-305 (1997)
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[Publications] Ogawa T, Isoda S and Kobayashi T: "Structure Analysis of C60 Low-Temperature Phase by Electron Crystal lography with Crvo-TEM" Acta Cryst.B53. 831-837 (1997)
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[Publications] Irie S, Hoshino A, Kuwamato K, Isoda S, Miles M J and Kobayashi T: "Point-on-Line Coincidence in Epitaxial Growth of CuPcCl16 on Graphite" Appl.Surf.Science. 113/114. 310-315 (1997)
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[Publications] Irie S, Isoda S, Kobayashi T, Ozaki H and Mazaki Y: "Photopolymerization of Alkyldiyne Monolayer" Technical Report of IEICE. OME97/59. 5-10 (1997)
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[Publications] Kawase N, Isoda S, Kurata H, Murata Y, Takeda K and Kobayashi T: "Structure and Polymerization Process of Vacuum-deposited 1,6-di(N-carbazoylyl-2,4-hexadiyne(DCHD)Epitaxially Grown Films Studied by High-resolution Electron Microscopy" Polymer. 39. 591-597 (1997)
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[Publications] Ogawa T, Isoda S, Suga T, Ysujimoto M, Hiragi Y and Kobayashi T: "Analysis by SAXS and Cryo-TEM on Polymerization with a Surfactant" Colloid & Polymer Science. 106. 141-143 (1997)
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[Publications] 磯田正二、小林隆史: "フタロシアニン、化学と機能(第2章構造、2.1結晶構造)" ICR出版、白井汪芳ら編(分担執筆), 63-78 (1997)
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[Publications] 小林隆史: "有機分子の直接観察、固体表面での化学反応により作成された有機錯体の分子像と欠陥" 学際企画、電子顕微鏡学会編(分担執筆), 94-97 (1997)