1998 Fiscal Year Annual Research Report
緑藻ハネモの自然プロトプラスト形成誘導物質の同定と応用
Project/Area Number |
09876055
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
堀 貫治 広島大学, 生物生産学部, 助教授 (50116662)
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Keywords | 緑藻 / ハネモ / プロトプラスト / 形態形成 / 損傷治ゆ / 誘導物質 |
Research Abstract |
前年度内に緑藻ハネモBryopsis plumosaの自然サブプロトプラスト形成誘導物質の検出アッセイ系として洗浄オルガネラ画分と細胞内液(検液)の再混合実験系を確立し、同物質は耐熱性の高分子物質であることを認めた。そこで、本年度研究では、同アッセイ系を用いてプロトプラスト形成誘導物質の精製を試み、以下の結果を得た。 同形成誘導物質はハネモ培養藻体から緩衝液で抽出され、主に20-60%飽和硫安沈殿として回収されることを認めた。同画分をゲルろ過に供したところ、サブプロトプラスト誘導活性はボイドボリュームあたりの高分子領域(>MW、550kDa)に溶出した。一方、分画した各溶出液の加熱処理液では、本海藻のレクチン(MW、55kDa)の溶出ピークで高い活性が認められた。そこで、本レクチンをアフィニティーカラムで単離し、その加熱処理液が同誘導活性をもつことを認めた。この加熱処理液の添加により生じたプロトプラストは細胞壁を形成し、糸状体へと生長することも認めた。そこで、先のゲルろ過での各溶出画分を抗レクチン血清を用いるウェスタンブロットで検討したところ、高分子画分の非加熱液およびレクチン画分の加熱液では、抗レクチン抗体に陽性なバンドがスタッキングゲル内に認められた。また、精製レクチンを用いて種々温度で加熱後のプロトプラスト誘導活性、同レクチン蛋白質の表面疎水度、およびSDS-電気泳動での挙動を調べ、加熱温度の上昇に比例して同誘導活性、レクチン蛋白質の表面疎水度および会合体化が上昇することを認めた。以上の結果から、自然(生理)条件下では、何らかの機構でレクチン蛋白質の表面疎水度の上昇を伴う構造変化が起こり、その表面疎水性をとおして会合体が形成され、この会合体がプロトプラスト形成に関与することが強く示唆される。生理条件下での会合体形成機構が今後の興味深い課題である。
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